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2003年11月12日(水) ■ |
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『ドラキュラ紀元』 |
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他に読まなくてはならないものがあったので、冒頭だけ読んで中断していたキム・ニューマンの『ドラキュラ紀元』を読み終えた。いつのまにか、ヴァンパイアものが読みたくなる周期ができているようで、自分でなるほどと思ったりして気持ちが悪いのだけど、需要と供給の関係だなと思って納得している。<わけわかりませんね。(^^;
ともあれ、この本はすごかった! 虚実ないまぜにして・・・って、映画「リーグ・オブ・レジェンド」の比じゃないという感じ。どちらがいいとか悪いとかじゃなく、とにかく歴史上、文学上の実在および架空の人物が次から次へと登場して、びっくり仰天。おそらくその半分も認識していないのだろうが、巻末の「登場人物事典」なるものは、なんと53ページにもおよぶ。
『吸血鬼ドラキュラ』の続編と言われている本書には、オリジナル「ドラキュラ」の登場人物はもちろんのこと、その作者ブラム・ストーカ夫妻までもが物語の中に登場してしまう。歴代ヴァンパイアが揃って登場するし、切り裂きジャックについて、ジキル博士とドクター・モローが話し合っているとか、ヴァンパイアになったオスカー・ワイルドが婉然と微笑んでいるとか、悪魔博士フー・マンチュー、ジャンヌ・ダルク、シャーロック・ホームズ、ゲーテ、ランボー、アラン・クォーターメイン、バーナード・ショー、マダム・タッソー、ルイス・キャロル、ナイチンゲール、アイザック・ニュートン、ビスマルク、ガイ・フォークス、エレファント・マン、ローン・レンジャー、ロビン・フッドなどなどなど・・・とんでもない数の登場人物だ。全部書くと53ページになってしまうので、このへんでやめておくが、これだけの人物がどう描かれているのか、それだけでも興味深い。
結構分厚い本なので翻訳そのものも大変だったろうが、この「登場人物事典」を作るのに、どれだけの時間が費やされただろうかと思うと気が遠くなるし、作者のキム・ニューマンに至っては、11歳で映画『魔人ドラキュラ』を見て以来ドラキュラ映画を漁り続け、ついにこんな本を書いてしまったというのだから、そのはまりぶりは尋常じゃない。何より、どんな映画や本を参考にしたかという覚書を見て、その記憶力のすごさに驚いた。確かに「オタク」は、記憶力が良くなければなれるものではないと思う。映画や本だけでなく、歴史もしっかり勉強してるんだなと、妙なところで感心した。
ニューマンが参考にした本の中で、気になったものがある。アレクサンドル・デュマの『The Pale-Faced Lady』だ。たぶん翻訳では手にすることは不可能だと思うが、ここにも一人、本書の主要な登場人物が隠れているのだ。
脱線するが、デュマのこんな本も気になった。 The Son of Monte-Cristo/Alexandre Dumas The Countess of Monte-Cristo/Alexandre Dumas これはつまり、『モンテ=クリスト伯』の続編ってこと??? 今ちょうど、BS2で「モンテ=クリスト伯」のテレビドラマをやっているので(主演ジェラール・ドパルデュー、全4回)、ちょっと興味をそそられる。あ、『ダルタニャン物語(1)友を選ばば三銃士』も読まないと!
〓〓〓 BOOK
◆読了した本
『ドラキュラ紀元』/キム・ニューマン 内容(「BOOK」データベースより) ヴァン・ヘルシングが斃れ、ドラキュラはついに英国全土を征服した。だがその治世下、吸血鬼の娼婦ばかり惨殺される事件が発生。諜報員ボウルガードは、闇の内閣の命を受け、「切り裂きジャック」追跡に乗りだす。一方、ドラキュラとは血統を異にする吸血鬼の美少女、ジュヌヴィエーヴもまた事件を追いはじめるが…いまひとつの世紀末。虚実ないまぜにして贈る、あの名作の総編。
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