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2003年04月17日(木) ■ |
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原文で味わう新しいアメリカの短編小説(1) |
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早稲田大学オープン・カレッジ『原文で味わうアメリカの短編小説』の第一回目。講師・青山南氏。
入り口で、大学からマーク入りのノートとクリアファイルをプレゼントされ、ちょっと得した気分で教室へ。青山南さんは写真では知っていたが、実物にお目にかかるのは初めてなので、かなりキンチョー!でも、ここはせっかくなので、一番前のど真ん中に座って、マン・ツー・マンで聞いているつもりで集中した。
今日は初日なので、講座内容の説明と前期分テキストが配布された。各テキストの表紙には「講師・青山南(翻訳家)」とあり、ああ、ほんとに南さんの講座を受講するんだ!と実感。それから、テキストに使われる短編の作家について、速読のコツ、「訳」と「感想」の違い、などなどの話。講座の進め方としては、毎週指定された1編を読んできて、感想を発表するというもの。テキストは『The Best American Short Stories 2001』など、各種アンソロジーからの抜粋で、普通なら本を買わせればいいだろうと思うが、使用するものだけをコピーしてプリントアウト(表紙には全部違う色紙がついている)してくれているのは非常に良心的。
最初に「全部読んではいけない」、「話を自分でこしらえるのだ」と言われてびっくりした。まず翻訳の講座ではないし、語学の講座でもない。「原文を味わう」講座なので、とにかく速読しなさいということなのだが、そう簡単には・・・。しかし、重要な言葉は向こうから手招きしているらしい。単語を丹念に調べて日本語に訳してしまうと、日本語としての美しさは見えてくるが、言語の持つニュアンスが限定されてしまうとのこと。キーワードを見つけることが大事。
また感想においては、作家の言いたいことを捉えるというのではなく(作家自体、言いたいことなどわかっていないのだから)、自分なりに気になった文章だとかに注目すればいいのだそうだ。
これだけでも、今後の本の読み方が違ってくると思うのだけど、ところどころにちりばめられた「大事な話」が、とても面白かった。それはここに書こうとしても書けないほどの、ごく些細な一言だったりするのだが、読書上のいろんな迷いや悩みを解決してくれるものであったり、『南の話』同様、他の人にはどうでもいい事なのだが、私にはダイアモンドにも等しい言葉であったりする。まさに、きらめく宝石箱を開けたような感激があった。
自分の引き出しから放出するばかりであった状況に危機感を覚えていたこの数年、やっと引き出しに入れることのできる、自分にプラスになるものを得ることができたという喜びと、新しい知識を得るということに対しての満足を感じることができた。
南さんは写真よりも温和な感じで、ユーモアもあり、人の話をよく聞いて、自分の意見を押し付けたりすることのない先生で、知識が豊富で(だから先生をしているんだろうが)、尊敬に値する人物だった。授業のあとに、「今度、本にサインしていただけますか?」とミーハーなことを聞いたら、「いいですよ、ありがとう!」と逆にお礼を言われた。
さて、宿題は結構ハードだ。「全部読むな」と言われても、感想を発表するともなれば、やっぱり何度か読み込んでいないと・・・と思ってしまうし、ともあれA4で15、6ページほどの作品を毎週しっかり読んでいくのは、なかなか大変そうだ。でもそれを発表し、先生が(青山南さんが!)それに対してコメントをつけてくれると思っただけで嬉しい。反応が返ってくる(それも南さんから!)というのは、南さんファンの私には、ものすごくやりがいのあることだ。
ちなみに今週の宿題は、Ethan Canin『Emperor of the Air』である。 内容(「BOOK」データベースより) この本に収められた九つの短編小説は、そのほとんどが「青春小説」と呼びうるタイプの作品である。自分の中で何かが決定的に変化する瞬間が訪れるのを、息をひそめるようにしてじっと待つ16歳の夏―それがイーサン・ケイニンの小説の原型的時間だ。
〓〓〓 BOOK
◆読了した本
『ヴァイオレット&クレア』/フランチェスカ・リア・ブロック 内容(「MARC」データベースより) 一見正反対の17歳、ヴァイオレットとクレア。現実世界にのみこまれてしまわないよう、必死に自分自身を探しているふたりが織りなす、クールで不思議な透明感のある物語。
著者について フランチェスカ・リア・ブロック Francesca Lia Block L.A.タイムズのベストセラー作家。1989年、『ウィーツィ・バット』で鮮烈なデビューを飾り、全米の若者から熱烈な支持を得つづけている。〈Buzz〉誌で「LAでもっともクールな人びと」のひとりに選ばれ、〈ヴィレッジ・ヴォイス〉ではLAの詩人と評された。ロサンゼルス在住。
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