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2001年10月31日(水)
シングルトンズ・ダイアリー/ハロウィーン

いつも病院に行った帰りに、アイリッシュパブでランチをする。
落ちついていて静かだし、読書も進む。

今月の読書のテーマは「ハロウィーン」。
最後にハーパー・リーの名作『アラバマ物語』を持ってきた。人種差別の話で、ちょうどハロウィーンの日に事件が起こるのだが、その部分をパブで読もうと、楽しみにしていた。何度も読み返した本だけれど、毎回感動してウルウルしてしまうのだ。

パブはハロウィーンの飾り付けがしてあって(夜、ハロウィーン・パーティーがある)、もうすっごくいい感じ!
本物のオレンジのかぼちゃで作ったジャック・オー・ランターンもあるし、天井からコウモリもぶら下がっているし、この間行ったディズニーランドのハロウィーンなんかより、何倍もハロウィーンっぽい。

「仮装してきた方には、ドリンク1杯無料」とあるので、パーティーはさぞや楽しいんだろうなと思いながら、『アラバマ物語』を読む。

目の前をドラキュラが通った。

いるんだ、やっぱり!仮装してくる人。。。

8時から予定されているバンドのメンバーも集まりだし、音合わせなんかをしだした。まだ時間はたっぷりあるのでセットするだけなんだろう、ちょっとうるさいけど、そのうち静かになるだろう・・・と本を読みつづける。

黒人のボーカルが歌い出した。
英語じゃない。スワヒリ語みたいな感じ。
本のほうは、いよいよ佳境。このあとは静かに感動に浸りたい。

キーボードとパーカッションも加わる。本格的に演奏している。音も半端じゃない。こんなに間近で聞いたのは久しぶりだ。

スワヒリ語とパーカッションを聞きながらでは、身体がリズムに乗ってしまい、古き良きアメリカの感動的な話も、『ジャングルブック』かなにかと勘違いしそうだ。

無実の罪で殺されてしまった黒人の話に、可哀想だと涙を流さなければならない部分も、目の前で楽しく歌っている黒人のボーカルを見ながらでは、どうもいまひとつピンとこない。

そのうちいつのまにか、本も読み終えてた。
もっと泣くはずだったんだけど・・・。

狼男が出てきそうな満月を眺めながら、家路につく。
トリック、トリック、トリック・・・。


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