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2001年09月17日(月)
シングルトンズ・ダイアリー/マイコレクション

田中さんがドイツから帰ってきた。
おみやげはホテルのボールペン3本。
バンザーイ!なにしろドイツのホテルのボールペンは初めてだから!

そう、何を隠そう(別に隠してはいないが)、私はホテルの備品のボールペン・コレクターなのだ。
ホテルのボールペンはタダだから、迷惑にはならないだろうと、海外に行く知り合いには必ず頼むのだが、中には冗談だと思って持って帰ってくれず、かわりにホテルには何の関係もない立派なボールペンを買ってきてくれたりする人もいる。以前ドイツに行った人に頼んだ時には、ヘンケルの「じゃがいもの皮むき」が手元に来た。うげげげげ!
そういうわけで、やっとドイツのホテルのボールペンが手に入ったというわけなのだ。

ホテルの名前の入ったボールペンなど、こんなもの!と思う人もいるだろうが(大部分の人はそう思うだろう)、コレクションとはそんなものじゃないだろうか?
他の人には何の価値もなくても、集めている本人にはとても貴重なものなのだ。

そういったコレクション話で思い出すのは、大好きなT・コラゲッサン・ボイルの「ケツァルコアトル・ライト」という短編(短編集『血の雨』収録)だ。
ある男がありとあらゆるコレクションをしたあげく、ついにビールの缶を集めだす。世界中のビールの缶を集めたとき、メキシコの古代遺跡で「ケツァルコアトル・ライト」の缶が発掘されたという。イクスクラメーションマーク!それをめぐるコレクターの間で、とんでもない争いまで起きる・・・。
でも、ちょっと待って!そのメキシコの遺跡が遺跡になる前に、ビールなんてあったのだろうか?

たしかにビールは8千年くらいの歴史があるらしい。古代にも「仕事の後はまずビール!」なんて風潮もあったかもしれない。しかし、いくらなんでも缶ビールはないだろう。しかも「ライト」だ!
それって、例えば私がアウストラロピテクスが経営していたホテルのボールペンをもらったっていうようなものだよ。しかもグリップつきの!

でも、物語はいたって真面目。ケツァルコアトルに缶ビールなんてあるわけがないということに気がつかなければ、ただの欲張りな人間の話だ。だけど、こういう設定を大真面目に語るボイルって、ほんとに大好き。それにコレクター心理を見事についてる。この話の主人公は、これに凝りもせず、またヒマラヤの奥地に「イエティ(雪男あるいはアホ)」というビールの缶を探しに行くのだ。


そうして、私はドイツのホテルのボールペンを前にしてにやつく。さすがドイツよ。筆記用具もすばらしい!今度はイタリアを入れずに同盟を結ぼう!
しかし最近どこの国のホテルでも、BICのボールペンが多くなってきたのが、ちょっと不満ではある。


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