紀姫日常。

2005年10月15日(土) トラスト

毎日が激動ですよ。

明け方まで電話してそれから寝て昼間起きる。夕方からバイト。
激動なのは、私じゃなくて、周りのこと。
もうずっと宇多田ヒカルが回ってる。

とにかく、彼と彼女と私は一日の仕事を3人で無事終わらせ、彼は仕事を離れました。
彼女は実感がないと言っていた。
でも私は彼が靴箱のラベルを剥がしたときに、もう二度とここでは会わないんだと確信した。
彼は実感がわかないと言っていた。
最後に私が彼に宛てて書いた文はどうしようもなくくだらないもの。
それに彼は真摯に答えて、信じられないぐらい嬉しいことを書いてくれた。
それを読んで私は泣きたくなって、ひとりで泣いたらバカみたいだから我慢した。
でも彼の顔が真っ赤だったから、もしかして、泣きたいのかな、と思った。
泣かせればよかったかもしれないが、女の子ふたりの前で泣かせるわけにはいかなかった。
でも、まさか泣くわけがないとも思っていた。
着替えてる途中で突然帰ってしまったのは、驚いたけど、そうか、とも思った。
なるべく明るくしたかった。

帰りの電車はぽかんとしていた。
彼女はどうだろう。
何かなくなったのかな。晴れ晴れとしている様子はなかった。私はそれにほっとした。
彼女はおつかれメールを入れると言っていた。
私はとにかく眠いんだと答えた。

アパートまで、ひとりで歩いてると、リコーダーの音が聞こえた。
こんな夜中にアマリリスなんて誰が吹いてるんだろう。
アマリリスを口ずさみながらアパートまで歩いた。

家に着いたら彼からメールが来ていた。
短い文章に、全部つまっていた。
嬉しかったから、いつも言わない本音を書いた。
もしかして、泣いてるの?と返事が来た。
メールじゃわかんないでしょと返した。
そしたら電話がかかってきた。
彼は泣いていた。
はじめて彼は、私の前で泣いていた。
その嗚咽を聞いて、涙が出てきた。
さびしいと彼はずっと言っていた。電話を切ったらこれが本当に終わってしまうような気がして怖いと言った。
私は多分、本当に終わるんだとうなと思った。
もう次に声を聞いた日には彼は変わっていると思ったからだ。
むしろ今日が特別なだけだとも思った。
でもそんなことを言う彼がとても愛しいと思った。

それから長い間、話したり、泣いたりした。
彼女のおつかれメールのことを聞きたかったけど、私はやはり彼と彼女の間の話には安易に踏み込めなくて、聞けなかった。
でも結局わかったのは、彼も彼女もお互い好きだったということ。彼が否定しても私はそう思った。
かなわないな、ほんとに。
彼ほどに仲間思いの人間はいなかった。だからみんな彼に惹かれた。彼は絶対に利己に走らずに、むしろ自分から傷つく役を引き受けて、ここを去った。
私はそこまでしてくれた人に、戻って来いなんて、絶対に言ってはいけないと思った。もしかしたら彼は本当はそう言って欲しかったのかもしれないが、私はそれでも絶対言ってはいけなかったし、言ったとしても彼は拒むだろうと思った。みんなのために。
本当はみんな彼にして欲しいのに、誰もここから去らなくてもよかったのに、どうしてか、みんなバラバラになった。とても短期間の間に。
そういう時期なんだと、冒険映画のラストみたいに思った。

だけど、ほんとに電話してくれて嬉しかったな。
これで一応、終わったわけだけど、新しく始まるための終わりなんだという気がした。


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