★ネタバレ部分、反転してお読み下さい。
宮部みゆき女史の新作、「ブレイブ・ストーリー」。 上下巻で、ほぼ「模倣犯」と同じぐらいのボリューム。
読み応えあるかなぁと思って読み始めたんですが、ストーリーがファンタジーなのですよ。 宮部さん自身がこういうゲームがお好きらしいので好みで書いてらっしゃるのかもしれませんが、ファンタジーでこのボリュームはツラかった…。 長い!長いよ!と思いながら読んでました。 普段こういうジャンル読まないしなぁ。
ストーリーは、現代の少年ワタルが自分の運命を変えるために幻界と呼ばれる世界で冒険をする…というものなんですが、幻界と現世の比重が9:1ぐらいなんですよ。 ほとんど現世が出てこない。 ので延々幻界の話が続くんですが、こういうファンタジーものってその世界を説明するのにものすごく字数を割くじゃないですか。 それを読むのがやや辛かった。 ダルババとかハイランダーとかその物語にしか出てこないものばっかりですから。この点やっぱりかなりその世界が興味深いものじゃないとこのボリュームはツライですよね…
ワタルと同じ年くらいの子(小学生だっけかな)が読む物語なのかと思いきや、ワタルの冒険のもとになる彼の運命(不運な人生)が結構ヘビーでして…。この部分は大人が読んだ方が分かるような気がするし。 ミツル(ワタルのライバル)の運命もヒドイけどね。
ワタルの側からの物語なので、ミツル(いわゆる悪者ポジション)の心理描写が少なくて、最後にがーっと説明があるんですけどもっとそこを読みたかった気がしました。 これは私が悪役好きだからか…。 でも彼の妹や叔母さんへの想いとか、すごく切なかったんですよ。
上巻読んでる間は結構幻界の説明が長くてうーんと思ってた(最近、乙一氏のスピード感ある小説ばっかり読んでたのもあって)んですけど、下巻、カッツとミツルが死ぬ場面では泣きました。ええ、泣きました。 あの最期の祈りの言葉とかものすごく良い。 やっぱり泣かす話は宮部女史だなー。 ロンメル隊長のエピソードも見抜けなかったです。自然に驚いちゃった。あの箇所ではすっかりもう人柱のこと忘れてたので。悲しい話だよ…。 ちづと同じく小説を読むスピードが早くて読み応えのある本をお探しの方はどうぞ。
んで彼女の「ドリームバスター2」を次は読もうと思っております。 1も読みましたけど、こちらは現世とファンタジーの比率が5:5ぐらいなので「ブレイブ・ストーリー」よりはかなり読みやすかったです。シリーズの短編集だったしね。 |