お風呂で
『Amy Says』(山田詠美著/新潮文庫)を再読していたら、改めて「だよな、だよな、そうだよな♪」と思った箇所があり、勢いづいてメモ化してしまいました。。よって、次いでにみなさまにも勝手に公表♪
「野性」という褒め言葉
(略)男の剥き出しの野性は嫌味である。かといって、野性味のない男に男の価値はない。
女の注文は自分勝手でややこしい。そんな女の要求にいちいち答えてなどいられない。そういう男はそれでいいのだ。野性とやらを剥き出しにして、一昔前のターザンをしていればいいのだ。きっとそれなりの女たちが腕にぶら下がって来るだろう。
けれど、(中略)少し物の解った男たちは、自分の野性をどうやって隠すべきかを学んでいただきたいと思う。
男の野性を隠すのに手っ取り早いのは、まず「洗練」を身に付けること。そして、第二段階は「素朴」を滲み出させること。さらに、仕上げの段階で「知性」を備えること。
「洗練」というのは意外に簡単である。それは、余分なものを削ぎ落とすことから始まるからだ。たとえば洋服。どうでもいい女たち。自分の存在する空間。自分の好みに合わないものは冷酷に切り捨てて行く。そして、こだわる。(中略)女の優しさが過剰気味で鼻に付くなら、もちろん捨てる。
「素朴」は、少し「野性」に似ている。けれど、まったく別のもの。それはとても無意識であり、無頓着である。男には理解出来ないだろうけど、それはとても女の性的な部分を刺激する。そこには、まったく欲望が含まれていないからだ。野性にたっぷりとしみ込んだ欲望を、それはやさしく中和させる。
そして、難題の「知性」。これは「知識」ではないから難しい。知識を詰め込むだけなら誰でも出来る。けれど、指や唇の動きに知性を含ませるのはめったな事ではものに出来ない。知性というのは言い換えれば「物を知った」という事である。これに限っては年齢というものが必要なのである。
けれど、もし、これすらクリアしてしまえた男がいたなら、女たちは頬を染めてこう言うだろう。"He is not only wild, you know that, don't you!"
『Amy Says』(山田詠美著/新潮文庫)より引用。
ふむふむ、詠美先生がおっしゃるような、素敵な人たちがたくさんいれば、もっとこの世の中は楽しいものになるやもしれず。(でもまぁ、こういうのって、男性がうんぬんとかではなくて、女性もレベルアップしてこそだと思うので、どっちもどっちなんでしょうな、あはw)
というか、“「洗練」というのは意外に簡単である、最初に要らないものを削ぎ落とすべきである”というのは同意見だなぁと思った。。というのも、女友達がとある種の男性を指して困ったように「彼って、うざいのよw」「メンドクサイのよw」と言うときのその「彼」って、「余分なもの」がたくさん付いている、要するに、「過剰」であるからこそ、そう言われてしまうのだろうなぁ、と時々感じるので。。
逆に言えば、相手の男性を見て、「ムダなものがない」「過剰ではない」というだけで、女性というのは相手に好意を持ちやすくなるものなのである。
というか、ムダな欲望が含まれていない「素朴」というのは、良い男の条件だなぁ、とこれを読んでしみじみ。過去のとある場面を思い出しつつ、「なるほど♪ああいうことを言うのだろうなあ、素朴って♪」と、一人で「ふむふむ」と頷く今宵でありました、あは♪