麩宇野呟秘密日記
透乎



 メモ−指定

「やめてっ。やめてってば!」
「いやだ」
「嫌いになるからね」
「どうぞどうぞ。そんな嘘、おれには通用しないからさ、いくらでも言ってよ」
「どうして嘘だってわかるのよ」
「抵抗する力が弱いもん」

 ……ぐっと、あたしはそこで思わずだまった。鋭い、鋭すぎて可愛くない。あいかわらず憎らしい。どうして、こんな奴を好きだって思うんだろう。だから、嫌だと思っているのに、どこか体は反比例する。

「……ん、やっ」
「んー気持ちいい」

うしろから抱きすくめられ、身動きが取れない。立ちすくんだまま、前に伸びてくる手を、必死で抑えていた。
このあたしたちの立ち方は、彼にとっては絶好の体勢だ。すべりこませやすく、手が届き易い。
おかげで、両方同時にきた。
寝る用のTシャツはだぶだぶで、すっと入ってきた手は、すぐさま目的地に到達した。あいにく、これ一枚しか着ていない。
下はチャック付きのズボンだったのに、いつのまにかそれは解かれていて、布の下にもう手が入っていた。いきなり、敏感なところを刺激する。

「んっやっ…まって」
「まてない」

制止するあたしの手を、まるで無い物のように気にせず、彼は手を動かしつづけた。やめてもおうと、今度は力いっぱい彼の手を握ろうろするのに、力がでない。一瞬の彼の動きで、あたしの体からはほとんどの力が抜けてしまった。
制止するては、ただ彼の手に添えているだけになる。

「このかっこういいね、味わいやすい」
「あっ」

今度は手だけじゃない。口までもが、あたしをいじめる。
首筋に、軽く吸い付いてきた。

「しばらく、こうしてようよ」

またあたしは、このままなのか。



2003年06月30日(月)
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