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篤志家とエロオヤジ - 2006年11月18日(土) またまたひさしぶりの更新、スマソ(汗)。 寿司屋ではないが、いいネタが入ったのでご披露する。 ここ半年で、僕もずいぶんと行く店、指名する嬢が変わった。 これは現在、メインで通っている店の指名嬢の、実話である。 彼女はもともと、銀座の高級クラブにヘルプとして勤めていた。 ヘルプとはいえ銀座、ノルマもあり、同伴出勤もこなさなくてはいけなかった。 もともと営業好きではない彼女は、それが性分に合わず店をやめてしまい、もっと庶民的でノルマもないような店に移ってきたのだった。 ある日、僕は彼女にたずねた。 「この店に来る直前まで、銀座の店にいたの?」 答えはノーで、半年ばかりプータローだったという。 「半年もよく仕事をしないでよくやっていけたね、どうしてたの?」 とさらに訊いたら、こういう答えが返ってきた。 「銀座の店のお客さんで、こちらが頼まないのに、毎月生活費を振り込んでくれた人がいたの」 これには、僕も一瞬、たじろいだ。 銀座時代にした貯金を取り崩していた、みたいな穏健な答えを期待していたからだ。 詳しい話を聞くに、そのお客が彼女の預金口座番号をたずねてきたので、一回くらいお小遣いをもらえるんだろうと思って何の気なしに教えたら、毎月、生活費になるくらいのお金(さすがにその金額までは聞けなかったが、半年でおそらく100〜200万円くらいの額であろう)を振り込んできたというのだ。 「で、きみはそのお客に、何かしたの?」 と聞いたら、特に何もしなかったという。 「彼の方から、これだけのお金を振り込んだんだから、自分の女になってほしいといってきたけれど、お金で抱かれるのはイヤなのでと断ったわ」 という。これには、なんと返答したものかと思った。 一見、彼女のとった選択が、よくないことのように思えたから。 が、あまりに彼女が真正直に、ストレートにいうので、彼女のとった行動が、そんなに間違っていないのではないかという気がしてきた。 そこで、彼女とお客の、一連のやりとりを、検討してみる。 彼女が銀座の店をやめる(生活費の財源がなくなる) ↓ お客が彼女の生活を心配して、銀行口座番号を聞き出し、生活費を振り込んでくる ↓ 彼女はそれを特に拒否しなかったで、彼女が別の仕事につくまで、お客は毎月生活費を振込み続ける ↓ 彼女が新たな働き場所を見つけたので、振り込みも終了する ここで終わってさえいれば、お客は素晴らしい「篤志家」である。あしながおじさんである。 彼女も、その援助に対し、それなりに感謝の念をもったはずだと思う。(なにか、かたちのある御礼をするかどうかは別として) たぶん、彼女が新しい店に移ってからも、なんらかのいい人間的交流はあったはずだ。 さらにいえば、自然に恋愛関係に変化していったかもしれない。 しかし、このプロセスに、最後のもうひとつが加わることで、お客への評価は一転してしまう。 ↓ これまでの援助への見返りとして、自分の女になるよう求める 篤志家は一気に、ただのエロオヤジ、助平ジジイと化してしまったのである。 篤志家とエロオヤジは、紙一重なのだ。 そのお客は、うっかり自分から見返りを求めてしまったことで、彼女の全面拒否をくらうはめになり、大損をこいてしまった。 銀座の女たちは、すべてカネでなんとかなる、と思っていたお客は、大いに見当違いであったのである。 彼女はそのお客に感謝はしていても、決して惚れてはいなかった。 だから、これこれこれだけのカネを払った実績があるのだから抱かせろ、というセリフには、カネでころぶほど安っぽい女じゃない!とつっぱねてみせたのである。 たしかに、これから予想される展開とか考えずに何の気なしに(あるいは、ちゃんと予想はしていたのだけれど、すっとぼけて)銀行口座をホイホイ教えたりした彼女の側にも、問題はないでもない。 ワキが甘い、というそしりはまぬがれないだろう。 でも、そのお客だって、おそらく家庭があるんだろうし、銀座の店にも別の指名嬢がいたりするんだろうから、下心見え見えの行為である。 ほめられたものではない。 だから、おあいこ。 お客も、これを裁判で訴えるわけにもいかないだろうし、見返りの内容も事前に取り決めせず、いってみれば勝手に振り込んだカネなので、彼女に返済の義務はない。 ま、若干、モラル上の問題はありますが。 カネで女の気持ちを釣ろうとする野暮な客をびしっと封じ込めた彼女は、助六をかばい髭の意休をやりこめた花魁、揚巻を思わせるものがある。 カネでは心を売らない、という彼女は、「恋さえもカネで買える」という思想がまかり通っている現代には、珍しいタイプの、あそびめなのだという気がするね。 ...
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