夜。 バイトの帰りによく行く古本屋に寄った。 何となく本が読みたくなったから。
坂をチャリで下りてきて角を曲る。 するとその本屋はすぐ見える。
本屋からでかいスクーターが出てきた。 珍しくはないけどあんまり近くで見ることもなかったから目線を止めた。 そうしたら。
スクーターに乗っていた人とちょっと目が合った。 鋭い感じの視線。 フルフェイスのヘルメットだったからよく見えなかったけど。 顔も殆どわからなかったけれど。 それは真のそれとあまりにもよく似ていて。 私はその人から目を離すことができなかった。
真はスクーターに乗っているはずがないんだけれど。 いつか今乗ってるバイクが盗まれたりしたら今度はでかいスクーターがいいとか言ってた。
真の乗っていたバイクには私の名前が何故か付けられていた。 扱いにくいところが私に似てるとか(笑)。
私と離れた今、そんなバイクにはもう乗りたくないのかなぁ? だからスクーターに乗り換えたのかなぁ?
そんなことを一瞬のうちに考えていた。 人違いである可能性のほうが高いのに。 びっくりするくらい、動揺していた。 そして、私は自転車に乗ったまま横にあった看板に突っ込んだ。。。
本屋の中でしこたま打った肩をかばいながら呆然としていた。 人違いに決まってるじゃないか。 もし本物だったとしても今更何になる?
気持ちをだいぶ整理できてきたと思ってきていた矢先だった。
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