lucky seventh
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2009年05月12日(火) メサイアは微笑む。

いっしょに死のう?


死してなお、ふたりが別たれぬように

繋いだ手を ぐるぐるに紐で巻いて


さぁ、行こうか?




貴女は わらった。










メサイアは微笑む。















好きになるのはいつも同性だった。

大きな手

優しい茶色い髪に

少し高めのテノールの声


大嫌いな母親の 兄に似た人。



自分勝手な母親だった。

気に入らないことがあるとすぐに殴り

泣きながら罵る。


少女のまま 大人になった女だった。
そして、捨てられるなんて考えもつかない愚かな女だった。
子どもができたと知って、逃げられた。
可哀想な 女だった。

そんな可哀想な女が子どもを育てられるはずもなく、
「いってくるわ」
初めてそう言って、扉を出た日
それから女は二度と帰ってこなかった。
それは寒い寒い日の話し、もう二度と戻ってくる人のいない扉の前で
子どもだった自分はそは ずっと待っていた。

そして結局、施設に入ったのは4歳の時だった。
誰とも馴染むことはなく、ただ生きていた。

けれど、出会った。
泣きたいほど寒い夜に、
一人っきりの夜に、
泣けない自分の前にいたのは
泣いていたのは たったひとりの 少女。

そうして、二人は出会ったのでした。


供に居れたのはほんのヒトトキ。
季節が一めぐりする前に、二人は別れたけれど
その出会いは 忘れてしまっていたけれど
確かにその爪痕を残していた。


そして、母の兄引き取られて
子どもは少女の事を忘れて ただ与えられる愛を甘受して
 を 愛した。






そうして、待っていたのは裏切りだった。

簡単に あっけないほど簡単に壊れた。













「またせたね」

少女はわらう。


「もう、すべて終わったよ」



ぎゅっと握った、てのひら


繋いだ手をぐるぐると 紐で巻いた。


「さぁ、行こうか?」




少女は わらった。
お天道様の下で、それはそれは 美しくわらった。




だから、ぼくは うなづいた。


ナナナ

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