logo
FONTを元に戻す FONTサイズ固定解除

■血のバラード。
2002年01月24日(木)
血を抜かれるのが嫌いである。
好きな人もあまりいないだろうが。

かつて僕が色白で病弱な美しい少年だったころ(一部誇張有り)、
病院で採血された。なんで採血されたかは忘れたが
何しろ色白で病弱な美少年だったので(またもや誇張有り)

その時の看護婦が曲者だった。
超ヘタクソ。

なかなか注射針が血管に刺さらない。

「あれえ?あれえ?」

腕に注射器を何度もぶすぶす刺す。
その度にチクチク痛み、「やめてくれ!」と悲鳴を上げたくなったのだが

相手がナースなだけに、ナスがまま。

次第に気分が悪くなり脂汗が出てきた。

ようやく針が血管に刺さり注射器に血が吸いあげられていく。
その様を見ているうちに魂そのものが吸い取られる感覚になり、倒れた。

分かりやす過ぎる貧血。

看護婦は前日の寝不足と朝飯を摂らなかったのが悪いのだ、
と指摘したが

おめーが悪いんだよ。

それがトラウマで今まで一度も献血したことがない。

今日、健康診断であの日以来初めて血を抜かれた。
僕はその様を正視できず、ずっと下を向いていた。

「大丈夫ですか?」

看護婦が心配そうに声をかけてくれた。
ガキじゃあるまいし

「うん僕、注射キライなの」

とは言えなかった。かといって

「夜になるとぶっとくなる注射器持ってるんだよ〜ん」

と、オヤジちっくに答えるのもどうかと。
もっと言えなかった。

海綿体の血まで抜かれそうだし。

今日もアリガトウゴザイマシタ。

←前もくじ次→
All Rights Reserved.Copyright(C)
エキスパートモード 2000-2005
梶林(Kajilin) banner

My追加