取り立てモード始動

なんだかんだとありながらも、未だ彼との交際は続いている…ようないないような…よくわからないまま日々バイトに明け暮れる毎日。

前回の日記を書いた数日後、彼には別れを告げた。告げたというか、電話に出てくれないしなかなかかけてもこないので、メールで「もう終わろうか」と送った。「貸人と借人になろう」と。

そのまた数日後、やっと連絡があり、彼は「メール読んだよ」とだけ言った。

当時あたしは所持金が尽きかけ飯を食うのもままならず、なんとしてでも彼から取り立てなければ餓死してしまうかもしれないという切羽詰まった状況にあった。体から肉は消え、宇宙人っぽい体つきになっていた。痩せると異様に腕が長く見えるらしい。

必死で彼に金を請求した。無理なら食料でもいいから、とにかく何かで返してくれと。無駄遣いするんじゃなかったなんて、ちっとも後悔せず、ただひたすら、金を返さない、いや返せない?彼を怨んだ。くたばるなら彼も道連れにしてやるとさえ思った。

彼は「何とかする」とは言ったものの、一週間待ったがなんともならなかった。その間あたしは幸運にも金を拾い、それで食いぶちをしのいでいた。が、そんな幸運がそう何回もあるわけがなく、所持金が2桁になるのはあっと言う間だった。

もう我慢の限界に達し、今度は自分のゲームやCDをかわりに売ってきてくれと頼んだ。正確には自分のではなく、バイト先(中古取扱)で買い取りを断わった品で、客が処分を希望されたた物…ようするに店のゴミ。研磨機にかけてできるだけディスクの傷を減らし、換金できそうな物だけ選んで持ち帰っていたのだが、生憎身分証を持っていない為自分では売れなかった(てか内緒ね)。

それを売ってもらえる事になり、会った。けど、生憎その日は店が閉まっていたらしく、彼はすぐに戻ってきた。仕方が無いので翌日にすることになった。そうと決まったけど彼はすぐには帰らず、暫く話した。最近どんな感じだとか。寒空の下、指先の感覚なくなりながら。

別れ…てるのだろうか、ちゃんと別れたのだろうか。メールを出した後彼は何も抵抗せず、読んだよ、と言っただけだった。ちゃんと読んでたのだろうか。意味を理解しているのだろうか。いつもみたいに何で抵抗しないのだろうか。あたしは本気だったはずだ。そのはずだけど。何で彼はそんなに愛おしそうにあたしを見るのだ。それとも気のせいか。自意識箇条か。はたまた演技か。あたしの顔に触れたと思いきや、「クマがある」とマッサージしだすのは何だ?次第に好い加減な手つきになってきて変な顔作らされてる気がするけど、嫌がりながらもされるがままになってるあたしは何だ? それまでは緊迫した空気で、『別れた二人』を演じてたのに。

また彼に飲み込まれそうだったけど、思い止まった。酔っちゃだめだと自分に言い聞かせた。

別れてる…と思う。けど実際、別れてるとか付き合ってるとかいう言葉は、あってないようなもので。付き合っていたらしい頃と別れたらしい今と一体何が違うのかと言われれば、何が違うのだろうかと考え込まなければならず。

別れ際彼はいつものように「また電話する」と言って去った。結局何も変わってない。
2004年02月20日(金)

にきにっき / にきーた