日常

 時間がたつのは早いものだなと中学の頃から感じるようにはなりだしたけど、年々そのスピードが増していると思うのは気のせいかしら。と、サチは飲みかけたコーヒーをテーブルの上に戻し、軽く溜め息をついた。
 時間が短く感じるという表現はよく充実した時を過ごしたときに用いられるけど、朝方までパソコンかまって昼過ぎに起き、ぼーっとして一日が終わっていくのを待つような生活の一体どこが充実しているって言うのよ。
 「なんだ、溜め息なんかついて。俺の顔がそんなに退屈か?」
 向かいで同じようにコーヒーを飲んでいるy(削除)が優しく話しかけてくる。
 「ううん、なんでもないよ。」
 「らしくないな、元気だせよ。久しぶりに合えたってのに…。」
 少し口を尖らせて見せる姿があまりにも可愛すぎて胸の中がくすぐったくなる。抱き締めたいと思ったけど、サチは自分からは動かない。その辺はy(削除)も同じで、二人は付き合ってもう半年になるがまだ手すら繋いでおらず、もしかしたらy(削除)さんはゲイなんじゃないのかしらと、本気で不安に思うサチである。
 「ごめんね。」
 そうにっこり言いながらふと窓の外に視線を移す…‥
 『妄想もたいがいにせえよ。』
 そんな声がどこからともなく聞こえてきた気がした。
 「ん…もう少しだけ…」
 タオルケットにしがみつき夢のような妄想のようなものの続きを、日中の暑さで苦しくなるまで楽しむサチであった。

2001年08月13日(月)

にきにっき / にきーた