人生事件
−日々是ストレス:とりとめのない話 【文体が定まっていないのはご愛嬌ということで】
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2020年03月19日(木) |
そっと首を横に振る意味なんて |
外科だとか放射線科だとか専門科だとか色々回ったけれど、最後の主治医が一番嘘が下手だった。本当のことははっきり口に出しては言えない、ということが多かったからかもしれないけれど。いや、もしやあれ戦略? 心づもりさせるための下手を装った何か? 今ならそう、勘繰る気持ちもあるけれど。
外来受診に付き添った私だけを、不自然に呼び出ししたり。もっと上手に呼び出してよ、だましてよ。帰路から何かを疑う夫に私は死ぬまで本当のことを言わなかった。子どもにも、誰にも言わなかった。
皮下埋込型ポートを付けた翌週に、まさかの「今月いっぱいかもしれない」と言われた。亡くなる2日前の外来受診では、処置台に寝かせた夫のバイタル見ていた看護師がものすごい速さでモニターを本人と私から見えないように横に向けた。でもすまん、私、その前に見ちゃってたよ。血圧、低すぎるだろう…思わず主治医を振り返ったら、主治医ったら、私と視線を合わせた後、首を横に振った。なにそれ? なにそれ?? なにそれ???
入院を勧められ、でも「いいえ連れて帰ります」と頑なに言い張った私になぜかを問うた主治医と看護師に、来週はクリスマスがあるのでだめですと言ったら、「え?」と言われた。「え?」じゃねえよ。食べられなくてもこの人、食事時には食卓にいるんです、家族団欒するんです、だから、一緒にいたいんです、帰るんです。病院で死なせられないんです。家族で看取るんです。
クリスマスにはもう食卓にはつけなかったけれど、本当、あの日、一緒に帰ってよかったよ。
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