人生事件  −日々是ストレス:とりとめのない話  【文体が定まっていないのはご愛嬌ということで】

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2002年05月05日(日) 殴られて蹴られて、それでもなお彼女は彼を愛しているといった

どうして。

夫に暴力をふるわれ、幼い子どもの命が心配だからとセンターに来た30代前半の母。
彼女の頬は打たれた跡なのだろう、青紫色で脹れていた。顔はだいぶ、変形しているようだった。
「あなた自身の命さえも危ないんじゃないの?」
先輩保健師の問いかけに、彼女は、
「いいえ。子どものほうが小さいですから」
と答えた。

2人の子どもの身体には、小さなあざが無数あった。
すぐに、しかるべき機関に連絡をした。

「お母さん、あなたも保護されるべきよ」
先輩が強い口調で言った。
けれど、彼女はその強い口調さえも跳ね除ける重い口調で、
「いいえ、あの人を信じているのです」
と言った。

なにが正しいのかなんてこと、私には言えない。それは、私の価値観だから。
だけど、だけど。

本当に、あなたの選ぶ道はそれでいいの?
殴られても蹴飛ばされても、それでもなお、彼の愛を信じるの?
信じられるの?

ドメスティックバイオレンスはね、この世からなくなってほしいもののひとつなの。だから、それを許すような行為は困る。



どうか早く、彼女が自分自身のもうひとつの道に目を向けられますように。


佐々木奎佐 |手紙はこちら ||日常茶話 2023/1/2




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