2015年01月15日(木) |
アジア杯、日本はベスト8どまりか |
アジア杯がいま、たけなわである。すでにグループステージ(GS)が進む中で順位予想というわけにはいかないので、アジア各国の印象をまとめておこう。つまり本稿は順位予想ではなく、実力診断ということになる。
◎優勝は開催国オーストラリアか
さて筆者の見方によれば、本大会実力ナンバー1は地元開催国オーストラリア。優勝候補、まさに本命だ。コンディション、モチベーション、技術、運動量・・・総合力で群を抜いている。
対抗はイラン。鉄壁の守備、スピードとパワーは脅威だ。このチームに先制点を与えたら勝ち目はない。
大穴はウズベキスタンと中国。ウズベキスタンはW杯アジア予選において日本を何度も苦しめてきたのだが、勝負所で勝ち点を落とし、W杯出場を逃している。中央アジアから東アジアの移動がコンディションを狂わせてきたのだろう。アジア杯は移動距離の短い一国での大会。ウズベキスタンの実力が少なからず反映される。ただしGSで中国に負けているので、第三試合のサウジアラビア戦に勝たないと予選敗退になってしまう。
本大会の中国のできは良い。難敵ウズベキスタンに勝っている。フィジカルの強さを武器にするスキルを身に着けてきた。問題は精神面。一発勝負のノックダウンステージ(NDS)で実力が発揮できるかどうか。
◎日本のチーム状態は最悪
さて、ベスト4に当然日本を入れるべきだろうが、チームの状態はよろしくない。まずもって日本がベスト4から外れる要因の第一がモチベーション不足。このことは何度も拙コラムで書いてきた。W杯ブラジル大会で惨敗した日本代表の主力――本田、長友、香川、岡崎、長谷部、遠藤らがアジア杯のレベルで闘争心をもって臨める理由がみつからない。彼らは4年前から2014年(W杯本大会)の道程――アジア杯優勝→W杯アジア予選→コンフェデ出場→W杯――を経験してしまった者たち。一度頂上を極めた者に再び頂上を目指せと叱咤しても身体が動かない。頭では「アジア杯優勝」を目標にしていても、身体がついていかない。加えて、夏のオーストラリアという気候の激変も、モチベーションを奪うはずだ。
海外組は厳冬のヨーロッパでシーズン真っ最中。シーズンの緊張から解放されて真夏のオーストラリアとなれば、リゾート気分に近いだろう。ケガも心配だから、危険なプレーは回避するにちがいない。国内組はJリーグが閉幕したオフシーズン。コンディションがいいはずがない。日本代表には不利な材料が揃いすぎているのだが、それらを克服するカギはモチベーションだ。つまり、頂上(2018年W杯ロシア大会)を極めるのだという意識性にほかならない。
◎日本はイラン、UAEに勝てない
日本代表選手にモチベーションがなければ、アジアの頂点を本気で狙いにくるイラン、イラク、中国、韓国、UAE、オーストラリア、ウズベキスタン(サウジアラビア)のいずれかとKDSで当たっても勝てない。サッカーの公式戦では技術や経験よりも、闘争心とフィジカルが勝利に結びつきやすい。
この先の日本の展開だが、D組の次戦イラクに負けてヨルダンに勝ち、GSを2位で抜け、KDSではC組の1位(イランまたはUAE)に負けるという見通しが一つ。
最悪のシナリオは、D組のイラク戦、ヨルダン戦に連敗してGS敗退であるが、その可能性もなくはない。
なお、アギーレ監督の八百長疑惑の影響はあるのかないのか――は興味あるところだが、影響は軽微だと思われる。勝っても負けても、その要因に「疑惑」が占める割合は極めて低い。
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