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2014年06月08日(日) 守備の弱さは本番で致命的――サッカー日本代表ザンビア戦

日本がW杯前の最後の強化試合で、ザンビアに4−3で逆転勝ちした。試合内容は大味の乱戦で、勝ったからといって安心できるような内容ではなかった。むしろ、W杯に向けて一層不安を感じさせるものだった。日本代表の課題として挙げつづけられている守備の未整備が、最終段階、まさにこの期に及んで、依然修正されていない実態が露わになった。

最初の失点は前半9分、スタートからプレスをかけた日本の勢いがおさまった状況からだった。勢いよく飛び出して点にならず、ちょっと一服という緩みだろう。さらに、29分、相手のコーナーキックからのトリックプレーにひっかかってあっけなく失点し、致命的ともいえる2点のリードを許した。失点シーンはいずれも、日本のDF陣の気の緩み、淡白さからのように見えた。W杯の本番のグループリーグの相手(コートジボワール、ギリシア、コロンビア)ならば、ここで日本の負けは決まったようなものである。

日本の反撃は同40分、香川真司のクロスが相手ハンドを誘ったPKから。そして、後半になると動きが鈍くなったザンビア。28分、香川のクロスがそのままゴールに飛び込んで同点に追いついた。さらにその2分後には森重真人の上がりからチャンスをつかみ、本田が決めて勝ち越し。ところが、なんと日本は44分に同点に追いつかれてしまう。これも本番ではあってはならない失点だ。幸い、ロスタイムに、後半から出場していた大久保嘉人が青山敏弘のロングフィードに反応し、決勝ゴールを挙げた。

日本が攻撃的サッカーをしていくという基本コンセプトが悪いはずはない。だが、そのことは、守備を蔑ろにしていいということではない。FIFAランキング46位の日本の立ち位置で、世界の強豪国相手に3失点して4得点をあげて勝つという構想はありえない。日本の攻撃陣がそこまで成長するには最短でもいまから20年はかかる。いや永久にやってこないかもしれない。

日本のストロングポイントは団結力、組織性、機敏性、技術力、持続性、規律、走力、集中力等の要素であり、このことはオシムが日本代表監督に就任したときから変わっていない。それらの要素は当然のことながら、強豪国の攻撃に対して、チームで守るスタイルを含んでいる。香川、本田、内田といった海外組といわれる選手たちに、チームで守る謙虚さが不足しているように筆者には見える。

ビッグマウス(有言実行)はけっこうなことだし、自分にプレッシャーをかける意味で必要な振る舞いだろう。だが、たった2試合のW杯直前の練習試合(コスタリカ戦、ザンビア戦)を総括してみても、日本がきわめてバランスを欠いたチームである現状は明らかではないか。

それだけではない。日本の練習試合2試合の勝利は、練習試合特有のレギュレーション(交代枠6)を活かしたもの。当然、本番では選手交代は3枠しかない。しかも、相手は後半になっても手を抜かない。日本が失点した前半のような厳しい戦いを90分間してくる。だから、日本が練習試合の後半でみせたような展開は、かなり難しいと考えるべきである。

2つの練習試合でみせたような日本の反撃を本番において実現するためには、先発出場した選手が90分間走り続けることに係っている。故障明けの選手や海外リーグで試合に出ていない選手(長谷部、内田、吉田、本田、香川)にそのようなフィジカルの強さを期待してよいのだろうか。そのことは、本番において、確かめるしかないのではあるが…


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