Sports Enthusiast_1

2012年10月17日(水) やっぱりあれは奇跡だった。

国際親善試合:日本0−4ブラジル>◇16日◇ポーランド・ウロツワフ

奇跡は二度、起こらなかった。ブラジル戦の完敗で、日本がフランスに勝ったことが幸運であったことを証明した。

日本とブラジルの力量の差は明らか。ブラジルは日韓W杯優勝以来、ドイツ、南アフリカの2大会でベスト8にとどまった。2014年の自国W杯開催優勝に向けて、いま、チーム強化に余念がないものの、往年の「王国」の面影はない。選手の個性が薄れ、小粒になった。南米でも“常勝ブラジル”という神話は崩壊している。それでも、アジアの日本との実力の差は縮まっていない。

さて、大雑把な話、日本代表の欧州遠征2戦は、日本サッカーの実力を見極めるいい材料だった。自国の親善試合でほぼ負けなしの日本代表だが、欧州、南米の力のある代表チームとの試合ではそう簡単に勝てないことが明らかになった。アウエーの試合を数多く、経験しないと、日本代表は強くなれない。

この2試合の経験を踏まえるならば、日本代表の今後の方向性は明らかだ。1つは、実力差がある相手との戦い方だ。どうしても勝ち点を上げなければならない場合、日本はフランス戦、ブラジル戦のような玉砕をしてはならない。幸いにして、遠征では日本はフランスに勝ったが、あのような勝利を期待してはいけない。日本も守備的な戦い方のノウハウも蓄積する必要がある。守備的な試合を潔しとしない日本のサッカー風土に迎合することなく、簡単に負けない技量を蓄えてほしい。

もう1つは、トップ下のあり方だ。フランス戦でハーフナーが機能せず、そのことを踏まえて、ブラジル戦は本田をトップ下に起用して、一定の成果を上げた。しかし、相手DFの裏に飛び出せる駒がいない。香川、清武もスピードがあるが、裏を狙う動きは不得手だ。ポストプレーが本田の役割なら、2トップのような形で、たとえば、Jリーグの得点王・佐藤寿人のようなタイプが得点を上げる可能性を感じる。

日本代表の現下の最重要課題が、アジア予選突破であることは致し方がない。そのためにアジアで勝てる布陣をザッケローニが採用することも仕方がない。しかし、いつまでもアジア仕様であれば、日本は世界の強豪と相渉ることはできない。親善試合であっても、簡単に負けない試合を何度もすることだ。


 < 過去  INDEX  未来 >


tram