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2010年06月23日(水) フランスはW杯南ア大会を汚した

前回準優勝国・フランスがこれほど酷いとは思わなかった。W杯開催中に監督と選手の内紛が表面化。監督批判をしたとされるエースのアネルカが最終戦を前にして代表追放処分を受け、強制送還となった。その翌日、選手は練習をボイコット。最終戦(南アフリカ戦)、キャプテンのエブラが最後までベンチ。まさに異常事態で、もちろん最終戦も負けた。日本代表に喩えれば、エースの本田が追放され、長谷部がベンチというに等しい。

フランス代表のごたごたは、ホスト国である南アフリカに対して非礼であるばかりか、大会そのものに傷をつけた。フランスの最大の罪は、プロフェッショナルが全力を尽くさずに自壊し、全世界のサッカーファンを失望させたこと。フランスサッカー協会はそのことを全世界のサッカーファンに謝罪すべきだし、自らを処分すべきなのだ。チームをマネジメントできない者を監督にした責任は重い。

そればかりではない。欧州予選のアイルランドとのプレーオフを思い出してほしい。あの試合、フランスのアンリがハンドで決勝点をアシスト。主審はハンドを見逃し、アイルランドの抗議は受け入れられなかった。それまで優勢だったアイルランドは涙を飲んだ。

フランスがアンリの犯した罪を償うためには、W杯本戦で、最低限優勝に絡む活躍をすること以外にはなかったはずだ。ハンドの反則は取り消せないものの、フランスが本戦で勝ちあがることにより、その実力をアイルランド代表及びアイルランドサポーターに対して傍証する以外になかったはずだ。フランスはアイルランドに「ハンド」で勝ったのではない、実力で勝ったのだと。

アンリの「汚れた手」で欧州予選を通過したフランスに課せられた義務は、結果はともかくとして、一戦一戦の勝利に向け、最善の努力を惜しまないことだった。アンリを含めたフランス代表選手はただただ、全力でプレーすることだった。そうすることにより、アイルランド戦の不正勝利の罪は償われるのである。

ところが、フランスは勝利のための準備を怠った。グループリーグ初戦のウルグアイ戦に引き分け、2節のメキシコに負けたところで、選手と監督の対立が一気に表面化したようだ。もちろん、W杯開催前から、フランスについては、代表監督ドメネクの評価をめぐっていろいろと取沙汰されていた。しかし、前回W杯準優勝の実績をもつドメネクを外す決断がくだせなかった。この判断が誤りだった。

FIFAランキング9位、1998年W杯優勝(自国開催)、2006年W杯(ドイツ開催)準優勝と、フランスは輝かしい成績を誇るサッカー強国の1つ。代表には、欧州ビッグクラブで活躍する才能のある選手を抱えている。選手個々の実力を比較すれば、ウルグアイ、メキシコを下回るはずがない。だが、サッカーはいくら「個」が優れていても、勝てるとは限らない。フランスのグループリーグ敗退から学ぶべきは、「個」よりも、「チームの結束力」の大切さである。


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