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2010年06月13日(日) W杯始まる

W杯南アフリカ大会が始まった。6月13日の午前の段階で、グループリーグA組(南アフリカ1−メキシコ1、フランス0−ウルグアイ0)、B組(韓国2−ギリシャ0、アルゼンチン1−ナイジェリア0)、C組(イングランド1−アメリカ1)の5試合が終了している。

たかだか5試合をTV観戦しただけで、大会の全体像を云々することはできないけれど、開催前に予想していた事項について、ああ、やはりそういうものかな・・・と確認できたものを、印象としてまとめておこう。

◎W杯は“最高”ではない

“最高”という言語が何を意味するかという前提の定義が必要だけれど、ここで用いるのは、サッカーの完成度という観点だ。あるTV番組のインタビューでメッシ(アルゼンチン代表)が、代表チームの難しさを説明していた。かつて、メッシは所属クラブにおけるほどの活躍が代表では出来なかったため、アルゼンチン国民から厳しい批判を受けたことがあった。彼はそのことに触れて、「代表チームの調整期間は1月ちょっと、難しいことはできない」というような意味の発言をしていた。

欧州リーグは5月中旬(セリエA最終節=5月16日、イングランド=5月9日、スペイン=5月16日)に概ね終了し、その直後、UEFAチャンピオンズリーグのファイナルがある。ファイナルに出場した選手(今年の場合は5月22日に開催、バイエルンとインテルが出場した)が代表チームに加わることができるのは5月下旬、しかも、肉体的・精神的な疲労を抱えたままである。欧州各国リーグに所属する各国の代表選手は、抜け殻状態とは言わないまでも、精神的・肉体的には万全とはいえない。なかには、満身創痍に近いものもいる。

アフリカ、中南米、アジアを問わず、力のある選手はみな欧州各国リーグに集まるから、北朝鮮を除く出場国が、欧州各国リーグの日程の影響をこうむっていることになる。つまり、W杯という大会は、調整期間1月弱という急造チームが行うサッカー大会だということだ。チーム戦略・戦術並びに連携については、とても最高を極められるような“大会”ではない。世界サッカーにおける最高の試合を求めるならば、UEFAチャンピオンズリーグもしくはリベルタドーレス杯(南米クラブ戦)のファイナルを見るか、世界クラブ王者決定戦を見たほうがいい。

このことを裏返すと、W杯で勝利するためには、1月弱でどれだけ強いチームをつくることができるのか――ということになる。

◎ホームの利とアフリカ勢の弱点

開幕試合では、ホスト国・南アフリカがメキシコ相手に惜しい引分で、勝ち点2を失ったものの、フランス、ウルグアイの調子がいまひとつのようなので、ベスト16入りの可能性は高まったように思う。筆者の予想は当たりそうだ。

なお、筆者は南アフリカを除くアフリカ勢について、すべてグループリーグ敗退と予想した。そのような意味で、ナイジェリアに注目していたのだが、アルゼンチンに0−1で負けた。強豪アルゼンチン相手だから、結果は仕方がないという見方もあるだろうが、ナイジェリアは攻守の連携が見られないし、守備のマークの確認も甘く、内容が悪かった。韓国の組織的速攻は通じるだろう。

◎優勝候補の調子をどう見るか

前出のとおりアルゼンチンはナイジェリアに勝って順当なスタートを切ったものの、いまのままのチーム状態ならば、優勝は難しい。

イングランドはGKのハンブルという、予想外の失点で追いつかれ勝ち点2を失った。堅守米国から1点を奪った点は評価できるが、米国にかなりてこずったという見方のほうが適正だろう。イングランドはベスト4どまりという筆者の予想も当たる可能性が高まった。

攻撃のタレント揃いのフランスも、退場者を出したウルグアイから得点を奪えなかった。欧州予選プレーオフで、アンリのハンドによってW杯出場を決めたフランスである。こういうチームには優勝をしてほしくない。


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