2009年10月15日(木) |
キリン・チャレンジカップは、「来る来る詐欺」に「不当表示」 |
何度か同じことを書いている。サッカー日本代表の国際親善試合=キリン・チャレンジカップのことである。その中でも、14日・宮城スタジアムで行われた、日本−トーゴ(5―0で日本の勝利)は最悪であった。
まずは、「来る来る詐欺」(この命名者は某夕刊紙)である。トーゴ代表の主力選手、エマヌエル・アデバヨルやジュニオール・セナヤは来日せず。更に、「不当表示」である。来日したのは、2軍半以下のメンバーで、来日選手は、たったの14名。つまり、スタメン11名+控え3名だった。
そればかりではない。来日した「トーゴ代表」は、W杯予選を戦ったカメルーンを出発(0−3で敗れW杯予選敗退決定)し、スイス、フランスを経由。約30時間をかけ、成田空港に到着したのはキックオフのわずか24時間前。予定されていた公式練習と記者会見が中止された。トーゴの選手はぶっつけ本番で、しかも、長旅と寒さで体調は最悪。サッカーができる状態ではない。しかも、出場給を巡って選手が一時ボイコットを示唆するなど試合への意欲がほとんどなかったという。
いってみれば、来日した「トーゴ代表」は、日本代表と試合をする要件を満たしていない。このマッチメークは、当初表示した商品から、内容が大幅にダウン(劣化)しているのである。主催者は消費者を騙しているのであるから、入場料(カテゴリー1で6500円〜7000円と安くはない)を一部返還すべきである。返還の理由は、▽中身が違うこと(目玉が入っていないこと、代表選手が入っていないこと)、▽鮮度が落ちていること(選手は疲労困憊)、▽数量不足(総勢14名)。正しいのは、原産国表示(トーゴ国籍の選手のみで、他国の選手はいない)くらいだ(笑)。
明らかに、詐欺ではないか。“一流が来るぞ”と宣伝しておきながら、実際来たのが“三流以下”であったならば、これは詐欺ではないか。詐欺でなくとも、表示と中身が違うという意味で、特定商取引法の表示義務違反の疑いも濃いのではないか。
このような詐欺まがいの商売をするのが、財団法人日本サッカー協会である。ということは、公益法人の詐欺まがいの商売を、監督官庁(文科省か)が許しているということではないか。
心あるスポーツジャーナリズムは、さすがに、厳しい見方をしている。スポーツ報知インターネット版は、「史上最悪の親善試合と呼んでも、過言ではないだろう」と、また、日刊スポーツインターネット版でセルジオ越後氏は「あまりにもひどい試合」と酷評した。スポーツナビのコラムニスト宇都宮徹壱氏は、「それにしてもトーゴは、想像以上に歯ごたえのないチームであった。(略)最初は「何とふがいない」とあきれていたが、そのうちに私はトーゴが不憫(ふびん)に思えてきた。(略)今回来日したメンバーの大半は国内組か、あるいはキプロスやリビアやフランス3部など、マイナークラブでプレーする選手ばかり。アデバヨルのように、所属クラブから協会にプレッシャーをかけてもらうことなど、望むべくもない。いささか酷な話ではあるが、今回のマッチメークは誰にとってもハッピーではなかった、と言わざるを得ない。」と、来日したトーゴ選手に同情しているくらいなのである。
不可解なのは、日本代表サポーター諸氏である。代表サポーター諸氏は、自らの懐から出費をして、代表試合のお安くないチケットを買っておられるのだと思う。応援の目的は、日本代表の強化のためであって、自らが応援することの喜びではないはずだと推測する。くたびれ果てた相手に日本代表が圧勝することを喜ぶ理由はないのではないか。このような対戦相手を選び、入場料に見合わない(と筆者は思うのだが)試合を挙行した、財団法人日本サッカー協会を非難しようとはお思いにならないのであろうか。ただ、漫然と、代表の勝利を喜んでおられるのであろうか。岡崎がハットトリック、海外組の森本、本田のゴールが見られれば、「満足」なのであろうか。
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