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2006年05月13日(土) 決定版、ドイツ行きメンバー

ドラゴンと異名をとる久保(横浜)が、キリン杯初戦のブルガリア戦に不出場。先発予定だったようだが、急遽、巻が玉田と2トップを組んだ。スコットランド戦は先発したが無得点。久保は高い身体能力を誇る日本を代表するFWだが、故障がついてまわっている。ちょうど、ボクシングのハードパンチャーが拳を痛めて引退するのに似ている。スポーツ選手にとって高い運動能力と故障・持病は、メダルの表裏をなす。両者の関係は、人間の身体の有限性を示す。その久保は、ジーコ体制の代表戦で得点を上げており、欧州遠征では最も印象的なゴールの1つを上げている。ジーコ監督の頭の中に、そのゴールシーンが残っているのではないか。
ブルガリア戦、スコットランド戦に先発したFWは玉田だ。彼はドイツ行き決定に見えるが、最終試験だった。玉田の評価については、真っ二つに分かれている。今季Jリーグ12節終了で1点(=PK)という、決定力(得点力)のなさが証明しているように、代表の器ではないというもの。一方、バイタルエリアにおけるドリブル、裏を取る動きで見せるスピードは、ワールドクラスだという見方。確かに、彼が活躍した代表戦があった。ジーコ監督の頭の中に、そのイメージがこびりついているのかもしれない。つまり、久保、玉田はジーコ監督の印象に依拠しており、Jリーグという実戦の実績(数字)により、評価されていない。こうした代表選びが正しいのかどうか。
案の定、得点力のないFWが先発した壮行試合で、日本はブルガリアに負け、スコットランドと引分けて最下位に沈んだ。唯一の得点(1)は、控えの巻が上げた。久保、玉田の「試験結果」については後述する。
ジーコ体制が発掘した新戦力としては、大黒・久保・玉田(FW)、松井・遠藤(MF)、加地(SB)、田中・坪井(DF)、土肥(GK)の9選手が代表的存在だ。いまの代表の常連の中で、日韓大会出場枠に選ばれなかった選手としては、中澤(DF)、俊輔(MF)、高原(FW)がいるが、4年前の日韓大会当時、彼らはW杯出場選手とほぼ同じ実力の持ち主だった。中澤はベテランの秋田にその席を譲り、高原は病気で出場できず、俊輔は体力面でトルシエ構想から外れた。トルシエジャパン以外でジーコが目をつけた選手としては、前出の9選手だ。
ドイツ行き23人の決定は15日。その前に筆者の最終予想を発表しておく。
まず、FW4人だが、ジーコ監督は、トルシエの遺産から柳沢と高原を、そして自分の印象に従って久保を選び、Jリーグの前年の実績で大黒を選ぶ。玉田はキリン杯出場2試合で無得点だったから、最終試験に不合格だったと考えられる。これがジーコの「バランス感覚」だ。ところが、05−06年シーズン、柳沢、高原が属する欧州リーグにおける得点は、柳沢=セリエAで0点(Jリーグ復帰後3点)、高原=ブンデスリーガで1点。また、Jリーグ(12節終了)では久保3点。大黒はフランスリーグ2部で5点(17試合出場)。リーグで得点を上げられないFWをドイツへ送り出していいのだろうか。
FW以外では、スコットランド戦に先発した、川口、加地、中澤、宮本、三都主、福西、小野、遠藤、小笠原が枠内だ。ブルガリア戦で村井が負傷したので、左SBができるレフティー(三都主の控え)として、海外組の中田浩が選ばれる。彼は鹿島枠だから固い。スコットランド戦先発組に海外組をミックスすると、
GK=川口/バックアップ(BU)⇒楢崎、土肥(3人)
DF=加地、中澤、宮本、三都主/(BU)⇒駒野、田中、坪井、中田浩( 8人)
MF=稲本、俊輔、小野、ヒデ/(BU)⇒福西、松井、遠藤、小笠原(8人)
FW=柳沢、高原/(BU)⇒久保、大黒(4人)
3+8+8+4=23、となる。DF駒野を外して、FW玉田の選択肢がないとはいえないが。いずれにしても、何度も書くことだけれど、魅力がない。期待できない。ベスト16は無理だ。


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