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2005年12月05日(月) 越後氏に敢えて反論

予定を変えて、Nikkan Sports.comに発表された、S越後氏の「“混戦”ではなくレベル低い“だんご”」に敢えて反論したい。越後氏は今季のJリーグでG大阪が優勝した主因について、“質のいい外国人選手が年間通じて活躍した”ことを挙げていた。確かにそのとおりだと思う。だが、リーグ戦で外国人選手が活躍したことが、その国のリーグのレベルの高低となる指標なのだろうか。欧州各国のリーグにおいて外国人が活躍しないところはない。スペインリーグのバルセロナ、レアルマドリード等の中心選手はスペイン人ばかりではないし、英国プレミアもしかり、ドイツブンデスリーガもそうだ。たとえば、バルセロナの進撃はブラジル人のロナウジーニョ、カメルーン人のエトゥらに負うところが大きい。マドリードには英国人のベッカム、フランス人のジダンらがいる。
重要なのは、リーグに所属するクラブチームが、その国の国籍をもつ選手で構成されていることではない。国内選手・外国人を含めて切磋琢磨することによりリーグ戦の試合の質を高め、クラブチームのレベルを高めることではないか。代表選手を鍛える場所は、リーグ戦しかない。そこでクラブチーム同士が真剣に戦うこと以外にない。
筆者は今季のJリーグが混戦(だんご状態)に終わったことは、偶然だと思っている。こんなシーズンが毎年続くとは思わない。それと同時に、Jリーグが完璧だとも思っていない。リーグの歴史は短いし、欧州の一部の国のリーグのように、世界的名選手が集まっているわけではない。
ところで、Jリーグのレベルを計る次のような事例がある。先日、TVでブラジルサッカーの中継を見ていたら、かつてF東京に所属していたケリー選手が、ブラジルの名門クラブチームで10番をつけていた。ケリー選手のレベルが低いとは言わないが、Jリーグで縦横無尽の活躍をした選手だったという印象もない。ブラジルに戻ってケリー選手が急激に実力を高めたとも思えない。つまり、ケリー選手が帰国後にすぐ10番をつけたということは、Jリーグが越後氏の思っているほど、レベルの低いリーグでないことを示しているのではないか。
筆者は、Jリーグに発展の芽が出ていること、その芽を大事に育てる時期がきていることを確信している。そして、発展の芽を出したのは、Jリーグの選手たちが1試合、1試合を一生懸命に戦った結果だと思っている。その一方で、いまの日本代表のすべての選手が質の高い選手で構成されていると思っていないし、すべての日本代表の試合がそうだとは言わないが、「質の高い」選手の手抜きプレー、気持ちの入っていないプレーを見るよりは、越後氏から「質の低い」と言われたJリーグにおいて、Jリーガーが、真剣にひたむきに戦う試合のほうが面白いと思っている。筆者には、越後氏が今季のJリーグを「レベルの低い“だんご”」と揶揄する気持ちが理解できない。Jリーグを通じて、日本人、外国人が真剣に競い合い、日本サッカーのレベルアップを図っていくことを祈念している。


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