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2005年03月22日(火) 中盤だけでサッカーはできない

ドイツ合宿中の日本代表だが、日本のマスコミ報道は楽観論が支配的だ。現地取材もしないで悲観論を展開する当コラムの根拠は薄いけれど、「根拠なき悲観論」の展開をお許しいただきたい。当方の悲観論が外れることが望ましいのだから。
私のサッカー観からいえば、実力が拮抗した者同士の対戦の場合、運動量が試合を決する。W杯予選などの場合、運動量を担保するのがコンディションだから、それを維持しやすいホームチームが有利となる。サポーターの圧力や気候風土の違いも手伝って、アウエーのコンディションはホームに劣る。
さて、報道によると、日本代表は「黄金の中盤」が復活するもようで、4−4−2のシステムに戻りそうだ。となると、先発予想は以下のとおりだろう。GK=楢崎、DF=加地、中澤、宮本、三浦、MF=福西((3/23稲本から訂正)、小野、中村、中田ヒデ、FW=高原、玉田(鈴木)。
このメンバーを見る限り、豊富な運動量で攻守を切り替えられる選手が何人いるだろうか。ボランチはケガから復帰したばかりの小野が不安だ。「黄金の中盤」は、テクニックを持っている一方、運動量が劣る。DF陣はさらに心配だ。左SB・三浦にスピードは期待できないし、守備力に定評のある選手ではない。中澤は故障中だし、宮本はガンバ大阪でボランチまでやらされたくらいだ。右SB・加地だけが「まとも」な状態だ。
ジーコ監督就任当時、「黄金の中盤」を先発させた4−4−2システムの代表試合では内容が悪く結果も出なかった。その反動から、3−5−2に戻し、どうにか結果を出したのが昨年のことだ。アウエーのイラン戦で、結果が出なかった4−4−2のシステムを採用し、運動量のあまり期待できない選手を先発起用するリスクは極めて高い。
繰り返しになるが、「黄金の中盤」は、守りには適さない。中盤でポゼッションを意識すると、ホームで高いモチベーションをもったイランにボールを奪われ、一気にピンチに陥る可能性が高い。
いまの日本代表の中で、前線〜中盤で激しく攻守にわたって献身的に動き回る、たとえば、トルシエ時代の森島のような選手がいるのだろうか。強いて挙げれば本山なのかもしれないが、本山の動きは直線的で読みやすいし、守備をしない。
以上が悲観論の根拠だ。さて、海外組が混入したイラン戦の先発メンバーは、アジア杯を制したチームと比べて強いのか弱いのか。少なくとも、中盤から後でボールがいったりきたりしている日本代表だと、イランに負ける。今回の日本代表は、アジア杯のときよりもバランスが悪くなっているし、運動量が劣っている。海外組が「驕り」の気持ちで試合に入り、「格上」のサッカーをやろうとすれば、体力・運動量で劣る分、イランにやられる。
海外組・国内組を問わず、豊富な運動量でイランにフォアチェックをかけ、献身的に守備をすればイランに負けない。つまるところ、イラン相手に「守る」のか「攻める」のか、自分達がイランより悪い状態にあるという気持ちで試合に入ることができるのかどうか――ジーコ監督は、危機意識をもって、はっきりとしたゲームプランを立てなければ、勝点1も上げられないだろう。


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