Sports Enthusiast_1

2004年02月22日(日) 問題は解決していない。

日本(フル)代表のふがいない試合の後、U23が韓国(U23)にいい勝ち方をした。格好の口直しか。そんなわけでもあるまいが、日本のフル代表の抱えている問題が忘れられようとしている。あるスポーツジャーナリスト氏は、「日本人はW杯の予選の恐さを忘れている」と論評していた。それはそうなんだが、だから、常日頃から日本代表の状態をチェックし、代表チームが「恐い予選」に耐えられるかどうかを伝えるのが、ジャーナリストの役割というものだ。日本のフル代表がオマーンに苦戦することは十分、予測できた。職業として代表を取材しているスポーツジャーナリストならば、ジーコジャパンが幾つもの問題を抱えていることくらいはわかるはずだ。勝負はやってみなければわからないけれど、結果を問わず、いまの代表が、チームとして機能していないこと、バランスを欠いていることを伝えてほしい。ジャーナリストは、代表の広報ではないはずだ。
ホームの親善試合(フレンドリーマッチ)の勝星など、なんの参考にもならない。世界ランキングも同じことだ。日本で行われるフレンドリーマッチはFIFAのAマッチに認定されているから、日本代表は、ホームで調整不足の海外代表チームに勝つ。そのたびごとに、ランキングは上昇を続け、いまや28位となった。28位というのは、バブルだ。こんなランキングは、何の指標にもならない。日本人だって、信じていないだろう。
フル代表の最大の問題は、選手選考・起用法だ。まず第一に、代表に指定席はないということを、すべての選手に徹底することだ。特別扱いなどないのだ。海外組、Jリーグ組を問わず、体調が悪い選手は使わない。換言すれば、選手同士は競争関係にあることの徹底だ。調子を落とせば、代表に呼ばれない。試合に使わない。そうすることで、選手の戦うモチベーションは高くなる。
第二は、監督はリスクを恐れず、自己が構築した戦略と信念に基づいて選手を起用することだ。自分が選んだ選手が世論の希望と違うとき、負ければ、監督は大きく非難されるだろう。前監督のトルシエは、俊輔を代表から外して世論の袋叩きにあった。だが、彼は持論を曲げなかった。02年のチームに俊輔は不要だったのだ。トルシエジャパンは本番でベスト16をキープし、トルシエは世論に勝った。
いまの代表から海外組を外すことは、監督として勇気のいることだろう。だが、戦略から導かれた選手起用基準を持っている監督ならば、海外組だろうがJリーグだろうが、迷うことはない。
名前や人気で選手を選ぶことは簡単だ。だれでもできる。たとえば、「黄金の中盤」が好例だ。冷静に見れば、「黄金の中盤」は、中盤に同じようなタイプの選手がひしめくだけで、とても機能しないフォーメーションであることは素人でもわかる。それでも、人気のある選手を詰め込んだのだから、サポーターやマスコミからは非難されない。どころか、「夢の中盤」などともてはやされる。だがしかし、W杯予選は、オールスターゲームではない。真剣勝負なのだ。負ければそれまで。オマーン戦は負けなかったけれど、もう少しで地獄だった。世論にこびても結果が出なければ、解任だ。プロの監督の宿命と言えばそれまでだけど。
第三は、若手の起用だ。いまの時期、五輪(U23)とフル代表が別々にチームを作り、それぞれが予選を突破することを強いられている。やむをえない面もある。どちらも、国民の関心事だ。だが、五輪予選が終わったら、W杯に集中してほしい。若手を使いながら育成し勝利をあげ、強い代表チームを目指してほしい。
いまの代表に欠けているのは戦う姿勢だ。なぜそれが欠如しているのかといえば、理由は簡単、主力がW杯経験者だからだ。彼らはW杯卒業組。そして、次のステップである欧州の一流クラブに入団するステップまで進みながら、中田と小野を除いて、レギュラーになれなかった。だから、彼らになにがなんでもW杯に出場したいという意欲はない。W杯は彼らには、下りのステップなのだ。もちろん、本人達はそれを否定するだろうが、W杯に出場していない選手に比べれば、予選を戦う意欲に差が出ることは仕方がないことであり、本人に責任はない。
代表に勢いをつけたいならば、強い意欲をもった選手達を起用し、経験者がそれを一つに束ねる、という構造をつくってみたらどうか。


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