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2003年05月06日(火) ディシプリン

きのうは、NHKBSにてスペインリーグ、レアルマドリードvsマジョルカ(レアルマドリード/ホーム)を観戦した。いまや、銀河系選抜(世界選抜より上)と呼ばれるタレント集団レアルマドリード。まさかホームでマジョルカに負けることはあるまいと思ったものの、結果は1−5の大敗だった。
この試合、レアルマドリードの敗因というよりも、マジョルカの勝因を考えるべきだろう。
勝因の第一は、誰の目にも明らかなように、マジョルカのFW・エトー(カメルーン代表)の才能だ。彼のスピードは、世界レベル。しかも、1、2位の実力者である。しかし、エトーの個人技だけでレアルマドリードが負けたわけではない。マジョルカがエトーの才能を生かすため、チームとして、戦略を徹底させたのだ。第一の戦略は、敵陣でのプレスだ。それは後半開始直後だった。レアルマドリードは前半1−0でリードしたため、前半の30分当たりから、自陣で余裕の球回しを始めていた。ダイレクトパスがおもしろいように回り、マジョルカを翻弄したかのように見えた。ところが、一見翻弄されているかのように見えたマジョルカは、密かに爪を研いでいたのだ。
後半開始から10分経過後ぐらいだったろうか、マジョルカはレアル陣内で強烈なプレッシャーをかけ、GKからの中途半端なボールを奪い、一気にゴールにもっていた。狙っていたのだ。解説のH氏が指摘したように、この得点でレアルマドリードは動揺した(と思われる)。
次の戦略は、1−1で並ばれ焦るレアルをカウンター攻撃で迎え撃ったことだ。これがおもしろいように決まった。ここでエトーが活躍したわけだ。
さて、この試合で思い出したのは、アテネ五輪・日本代表のことだった。アテネ五輪・日本代表は、アマチュのミャンマーに2試合とも勝つには勝ったが、前に書いたとおり、とてもほめられた試合展開ではなかった。2試合とも、戦い方に戦略が感じられなかったのだ。相手は守りをがっちり固めたアマチュアチーム。一人一人が個人技でつっかかって、つぶされる。2試合とも、前半0−0だったのは、その結果である。
アテネ五輪・日本代表にチーム戦略がないのは、これも前述したが、監督経験のないコーチが指揮をとっているからだ。報道によると、この監督はミャンマー戦において、「ボールを奪ってから15秒でシュートにもっていけ」という指示を出したという。おどろくほかない。それは一般論なのであって、自陣に10人がはりついた相手に速攻がきく可能性は少ない。「15秒」に縛られた若い選手は焦ってゴールに向かい、ことごとく相手の守備網にひっかかる。そうした単純攻撃を前半45分間も続けたのである。愚かというほかはない。
サッカーのチーム戦略を表現するものに「ディシプリン」という言葉がある。自由な創造性を尊重する現代サッカーでは古くさい言い方かもしれないが、個人の才能やイメージが優先されようとも、サッカーがチームスポーツである以上、相手に応じた規律(統一した戦い方)が必要なのだ。個人プレーを抑制する「ディシプリン」が逆に、個人の才能を生かす基礎になるのだ。もちろん、「ディシプリン」は相手に応じて変わるのであって、一般論ではない。相手に勝つための規律であって、約束事一般ではない。
マジョルカのあまりにもみごとな戦いぶりを見て、思わず「ディシプリン」という古い言葉をを思い出してしまった。


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