アルゼンチン代表との親善試合、期待していたリケルメ(バルセロナ)が怪我で日本に来ない。残念であるが、20日は所用でテレビ観戦もできないので、どうでもよくなった。 さて、けさの朝日新聞は、レッジーナの監督が中村俊輔の代表招集について批判し、「たかだか、親善試合に地球を半周して中村を疲れされることは、中村にとってもレッジーナにとっても大きな損失」という意味のコメントを出したことを紹介した。まったくそのとおり。リーグ戦優位の欧州のクラブの監督としては当然のコメントだ。マスコミではアルゼンチンが本気だとかWカップのリベンジだとか騒がしいけど、欧州から見れば相手がアルゼンチンだろうがブラジルだろうが、親善試合は親善試合にしか見えないのだ。日本では、Jリーグの優勝の行方は磐田に決まったようなものなので、今回の親善試合がクラブ側にもたらすマイナス面は少ないようだが、デッドヒートの真最中だったらどうなるんだ。サッカー協会はリーグ戦尊重を口では言っているくせに、内実はフレンドリーマッチでサッカー人気を盛り上げようとしている。これではサッカーがイベント化してしまい、リーグ人気の定着を阻害するだけだ。 バブル経済絶頂期、日本は大イベントの開催でわいたが、確実に文化として定着したものなど何もない。たとえば、1980年代、大きなジャズイベントをいくら開いてもジャズは定着しなかった。それまでジャズを支持してきたのは、ジャズ喫茶や小さなライブハウスに足繁く通った地道なファンだったからだ。彼らは冠付きのジャズイベントに期待しない。草の根のファンの心をつかまないイベントなど、無益以外の何ものでもない。冠大会だから人気選手を招集しないといけないと、協会も腐心するのだろうが、いま欧州サッカー界がどういう時期にあるかを理解しなければ、海外に出た日本人選手が気の毒だ。無理な選手招集は、日本サッカーのイベント主義の象徴だ。日本人選手を受け入れた欧州クラブの批判を受けきれない日も出てくるだろう。日本人選手が活躍すればするだけ、その可能性が高くなる。
|