貴乃花が復活して土俵に上がり、人々の注目を集めている。およそ1年ぶりの登場となった。でも、すこしでもスポーツをしたことのある人なら、横綱が好成績を上げるとは思えないだろう。筋力は長いこと鍛錬を怠るとたちまち弱くなる。1週間に3回鍛えて向上、2回なら現状維持、1回ならばストレスの解消程度といわれるくらいだ。横綱が休場の間、どのようなトレーニングをしていたのかまったくわからないけれど、復活は不可能というのが常識的見方だろう。 故障は右膝だというから、上半身は問題ない。しかし、相撲というスポーツは200キロちかくの人間がぶつかり合い、突き合い、さらには回しを握りあって押したり引いたり投げたりという格闘技。相手の動きは予想しにくい。思わぬ力が下半身にかかるのだ。いうまでもなく、下半身は上半身より鍛えるのが難しい。筋肉が大きいからだ。さらに人間の肉体における最大の弱点である、腰への影響を無視できない。膝をかばって腰にくれば、相撲はとれなくなる。 しかし、相撲に限っては常識は通用しない。まず、力士が最強の格闘家であることを前提にしつつも、相撲が純粋のスポーツとは言えないからだ。あくまでも伝統芸能である。最強の格闘家が演じる伝統芸能なのであるから、スポーツの常識とは異なる展開もあり得るのだ。 相撲に八百長があるかどうかについては、ずいぶんと議論があった。そこに金銭がからむという噂もある。しかし、そのことは,私にとってどうでもよいことだ。相撲がスポーツである必要はさらさらない。純粋のスポーツとして相撲を確立するのであれば、改善しなければいけない点はいくらでもある。たとえば、まずは部屋制度を廃止して総当たり戦にしなければいけないだろう。 相撲ファンというのは純粋のスポーツファンではない。贔屓の力士のそれなりの活躍をみればいいのである。ヒーローがけっきょくは優勝するというストーリーで安心する面をもっている。もちろん、10回に1回程度は、思わぬ伏兵が優勝をさらう展開もあり得る。相撲界は世の中が求めているヒーローをつくり、脇役も配置し、ときに憎まれ役も・・・といった具合なのだ。 さて、貴乃花がこの場所で優勝するという展開は、相撲の建前としてのスポーツという側面を自ら否定してしまうことになる。本音は芸能であっても、あからさまにスポーツ性を否定してしまえば、八百長を認めたようなものだ。だから、おそらく貴乃花は優勝しない。貴乃花の優勝というストーリーは、相撲界の自殺行為なのだ。さらに、1年間休んだ力士にころころ負けるような展開では、ほかの力士が納得しまい。 今場所の考えられる展開としては、貴乃花が、�,笋辰箸里海箸任両,善曚掘↓�怪我の再発による途中休場、の2つである。私の予想は�△澄5�乃花は人気力士といえども先は見えている。痛めた膝は、おそらく、致命傷だろう。彼の人気におんぶしていても始まらない。それよりは、力士全員のプライドを守ることのほうが大事なのだ。さらに、八百長議論の再燃も防げるという副産物もある。
|