昨晩は、BS1にてサッカースペインリーグ、バルセロナvsレアルマドリードを観戦。バルセロナホームのスペインダービー(このいい方が一般的かどうかは未確認)だ。バルセロナはスペインのカタルーニア地方の首都で、マドリードの中央政府とはライバル関係にある。両者の対立の構造は長くなるので省略するが、大雑把にいえば、フランコの独裁政権時代の圧政が主因である。スペインではバスク独立運動が過激なテロを引き起こしているが、ここカタルーニアにも、スペインからの分離・独立の運動があるという。 バルセロナホームの昨シーズンの両者の対戦では、バルセロナの一員だったポルトガル代表のフィーゴがマドリードに移籍し、敵として乗り込んだ初戦に当たり、大騒動があった。バルセロナ・サポーターはフィーゴのプレイに大ブーイングと口笛を浴びせ、コーナーキックを蹴りにいった彼にモノを投げつけたのだった。 今回は「問題の人」・フィーゴは欠場なのだが、あの時以上の混乱が引き起こされたのである。まず、ゲーム開始直後にハプニングである。二人の男がゴールポストに自らの腕を手錠でつないだのだ。警備員が慌てて排除にかかるが、この間10分弱のロスタイム。スタジアムは異常な興奮に包まれる。 その後ゲームはマドリード支配でしばらく進み、ついにゴールが生まれる。マドリード、1点リードである。ここまでのところ、バルセロナの劣勢は否定できない。実力はマドリードのほうが上回っているように見える。しかし、後半にはいってまもなく、バルセロナが奇跡にも近いゴールを奪い取る。キーパーのミスである。ミスとは言えないかもしれないが、止められないシュートではなかった。 その後、しばらくは互角の展開だったが、またしてもハプニングが起きる。バルセロナがカウンター攻撃に入ろうとした瞬間、二人の男が乱入しゲームが中断したのだ。一人の男は長いフラッグを持っている。実況アナウンサーはいずれも政治的な抗議行動ではないかとコメントしていたが、誤りではないだろう。フラッグのメッセージはカタルーニアの分離・独立を宣言したものである可能性が高い。 スポーツに政治を持ち込むことの是非は論ずるまでもないが、サッカー会場がバルセロナ(カタルーニア)の人々の政治的な思いにシンクロしていることも間違いないところ。 さて、ゲームは興奮の中、ドローのまま終了した。選手は終始冷静で汚いファウルもなく、あくまでも「サッカー」をやってみせたことが救いである。
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