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2016年05月12日(木) |
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呪詛 |
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呪いを。 生まれた時に一つだけ。
王宮の階段でガラスの靴を落としたことも。 毒リンゴを齧って命を落としかけたことも。 ウサギを追いかけ迷い込んだ奇妙な世界も。
いつか全て忘れてしまう。 「大きくなるんだよ」 という母の呪詛。
忘れた事を忘れちゃってもう一度。 君が聞いた呪詛も、君が言った呪詛も。
王子と踊ったワルツのステップを踏み。 7人の小人が歌った歌を口ずさみ。 帽子屋の口上を真似てお茶を啜るのだ。
「おばぁちゃん。面白いおばぁちゃん」 「いやぁね。私は孫よ。ママじゃないわ」
あの時君は呪いに気づき、眠る事を選んだんだ。
目覚める魔法は、忘れたんじゃない。 知らなかったんだよ。
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