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2006年04月21日(金) |
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Agnus Dei |
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明け方に近い真夜中。
七里ガ浜のセブンイレブン。 砂の浮いた駐車場。
CBのシートに跨ったまま携帯の液晶を見つめる。
青白いバックライトの中で女が微笑む。 僕は携帯を閉じ、ジーンズの尻ポケットにしまった。
夜中に徘徊する癖が抜けない。 蛍光灯やナトリウム灯に輪郭を縁取られた街を走るのが好きだ。
真っ暗な海の気配。 厚い雲の向こうに光る月。
幾重にも色を重ねた油彩のような夜が好きだ。
彼女はこの海を知らない。
僕は教えない。
彼女はこの空を知らない。
僕は教えない。
ヘルメットをかぶり、セルを押す。 一瞬迷ってから江ノ島方面にバイクを向けた。
あと、ほんの少しで夜明け。
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