職業婦人通信
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2006年01月25日(水) いま、会いにゆきます(男のけじめ編・その1)

手土産をめぐってケンカになり
不穏な空気のまま結婚の挨拶に向かった我々。

緊張のためか
はたまた、珍しくケンカなんかしたためか
相方はキリキリと車のハンドルを握り締めており
指の節が白く浮き出て見えた。

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無言のまま家に着き、ドアを開けると
そこは私の家のはずなのに
見たこともないミステリーゾーンと化していた。

1、ダイニングテーブルが新しくなっていた
  (精一杯ムリして買ったらしいアンティーク家具に)

2、見たことのない絵が壁に

3、家具の配置が全部変えられていた
  (腰の悪いはずの両親が模様替えを行ったものと推察される)

4、父がスーツ着用
  (父は個人商店主のため、スーツなんか着てるのは数年に一度)

・・・どうしちゃったんだろうかうちの親は。

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両親は我々を笑顔で出迎えたものの
テンパっているのは明らかで
妹はギクシャクする両親を見ては
笑いを堪えるのに必死といった風情であった。

これまた一張羅を着込んだ母に
「ま、とにかくどうぞ」とかなんとか言われ
相方は緊張のあまり巨神兵のような動きになりながら着席した。

私はまだ先ほどの手土産事件を引きずっており
相方を紹介はしたものの
話を和やかにするための努力は一切放棄しており
いきなり場は

シーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

と静まり返ってしまった。


慌てたのは父。
「で、どうなの仕事は?」とかなんとか
初対面のくせにわけのわからない話を振り込んだが
相方は相方で
「え、ええ、あのその、まぁ、ぼちぼちといいますかその、忙しいですね、ええ」
などと、話の流れが止まるような返答をしたため
二人はますます気まずい沈黙を迎えてしまった。

さらにテンパった父は
「忙しいのが一番ですよハハハ・・・
 男ってやつぁやっぱりね、そのね、まぁ、それぐらいの年だったら
 働いてナンボですからね」
などと言い出し

ついには父の一方的な
「男かくあるべし」論を相方が拝聴するだけ、という
結婚とは程遠い展開となってしまっていた。

私は困り果てる相方を横目で見ながら
「ふふふ・・・うちの父のわけのわからない話攻撃で苦しむがいい」
と、嫁に行くものとしてあるまじき意地悪心で
事態の展開を見守り
助け舟を一切出してやらなかった。
今にして思えばかなりひどい女であったが
私は一度怒り出すとかなり執念深い性格なのだ。

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やがて父は自己陶酔モードに突入し
「男ってのはねぇ、やっぱりアレですよ、女より仕事ですよ、ねっ?
 仕事ができてこそ一人前の男ってやつでねぇ」
などと、勝手な己の「男道」を言いつのり
相方は「ハァ・・・」とうつむくばかり。
場は明らかな膠着状態を迎えていた・・・


千代子 |MAIL
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