職業婦人通信
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私の相方・リョウスケの 会社の後輩、日暮君(仮名)。
体育会出身の彼は、明るくフットワークも軽く、 冗談にもキレがあって それでいて礼儀正しいという 今時めずらしいくらいに感じの良い男の子。
そんな日暮君を リョウスケは可愛がっており 仕事も熱心に教えているのだという。
リョウスケは 「ホントに日暮は飲みこみも早くて すぐに仕事やってくれるから助かるよ。 でも・・・ひとつだけ アイツには重大な欠点があるんだよな」 といって、 最近日暮君に起きた悲劇の話をしたのであった・・・
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日暮君はまだ若い。(24歳・入社2年目)
まだまだ遊びたい盛りの彼は 結婚の予定もなく、毎日のように同僚や友達と飲んで騒いで 好きなように楽しく暮らしている。まるでキリギリスのように。
彼は将来のための貯金の心配などしたこともなく 口座の残高さえめったに確認することもなかったらしい。
ただし、給料日の前日には 必ず口座の残高を確認し、残った金があればその晩のうちに すべて飲んで騒いで使いきることにしていた。
そんなある日。
「よーし明日はボーナス支給日だっ」
と、日暮君は口座の残金を確認したところ、 なんと
(・・・22万円!!こんなに残高があったのは久しぶり・・・)←日暮君心の声
22万円あった金はその晩のうちに友達を呼び出して
「今日はキャバクラおごったる!」
と、全額を気持ち良くキャバクラに投資し、 翌朝は財布の中身までほぼカラッポで会社へ出社したらしい。
なにしろボーナスの支給日である。 また今日になれば口座には金が入ってくるのだから 何の問題もない・・はずであった。
が、しかし。
「そろそろ口座にカネ入ってるだろ・・・」
と、早速キャッシュディスペンサーで残高確認してみたのに 口座には「0」の文字が青白く光っているだけ。
会社に戻って
「リョウスケさん、何時にボーナスって振り込まれるんスかね?」
と訊ねたのだが・・・
そう、ボーナスの支給日が 実はその前日だったのである。
日暮君が使った22万円は 次の日に支給されると信じていたボーナス全額だったのだ。
会社の同僚はみな 「ボーナスで今日は焼肉でも食べ行くかー」 などと盛り上がっているにもかかわらず 日暮君はその日一日 青白い顔でじっと席から動くこともできなかったという・・・
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「そういうわけでさ、 日暮はいいヤツなんだけど、唯一にして最大の欠点は 早とちりの多いことなんだよな」
と、リョウスケは語り、
「仕事でもさ、こっちが 『日暮、この仕事はここをこうしてこうやって・・・』 って説明してるともうその話の途中で 『あっハイわかりましたっっ今すぐやりますっ』 ってすぐ取りかかるのはいいんだけど 必ず勘違いして間違ってんだよな・・・ まぁ、ボーナスも使いきっちまったことだし しばらくは落ち着いて働けって話だな」
としめくくったのだが
ああ、いるよねそういう人・・・ハハハ・・・ うん、アタシ。 アタシも「早飲込みの早トチリだ」って、よく上司に言われるよ・・・
日暮君の悲劇を他山の石として ボーナス支給日はきちんと確認しながら生きていこうと 心に誓った千代子であった。
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