職業婦人通信
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2005年07月14日(木) 日暮君の悲劇

私の相方・リョウスケの
会社の後輩、日暮君(仮名)。

体育会出身の彼は、明るくフットワークも軽く、
冗談にもキレがあって
それでいて礼儀正しいという
今時めずらしいくらいに感じの良い男の子。

そんな日暮君を
リョウスケは可愛がっており
仕事も熱心に教えているのだという。

リョウスケは
「ホントに日暮は飲みこみも早くて
 すぐに仕事やってくれるから助かるよ。
 でも・・・ひとつだけ
 アイツには重大な欠点があるんだよな」
といって、
最近日暮君に起きた悲劇の話をしたのであった・・・

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日暮君はまだ若い。(24歳・入社2年目)

まだまだ遊びたい盛りの彼は
結婚の予定もなく、毎日のように同僚や友達と飲んで騒いで
好きなように楽しく暮らしている。まるでキリギリスのように。

彼は将来のための貯金の心配などしたこともなく
口座の残高さえめったに確認することもなかったらしい。

ただし、給料日の前日には
必ず口座の残高を確認し、残った金があればその晩のうちに
すべて飲んで騒いで使いきることにしていた。

そんなある日。

「よーし明日はボーナス支給日だっ」

と、日暮君は口座の残金を確認したところ、
なんと

(・・・22万円!!こんなに残高があったのは久しぶり・・・)←日暮君心の声

22万円あった金はその晩のうちに友達を呼び出して

「今日はキャバクラおごったる!」

と、全額を気持ち良くキャバクラに投資し、
翌朝は財布の中身までほぼカラッポで会社へ出社したらしい。

なにしろボーナスの支給日である。
また今日になれば口座には金が入ってくるのだから
何の問題もない・・はずであった。

が、しかし。

「そろそろ口座にカネ入ってるだろ・・・」

と、早速キャッシュディスペンサーで残高確認してみたのに
口座には「0」の文字が青白く光っているだけ。

会社に戻って

「リョウスケさん、何時にボーナスって振り込まれるんスかね?」

と訊ねたのだが・・・

そう、ボーナスの支給日が
実はその前日だったのである。

日暮君が使った22万円は
次の日に支給されると信じていたボーナス全額だったのだ。

会社の同僚はみな
「ボーナスで今日は焼肉でも食べ行くかー」
などと盛り上がっているにもかかわらず
日暮君はその日一日
青白い顔でじっと席から動くこともできなかったという・・・

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「そういうわけでさ、
 日暮はいいヤツなんだけど、唯一にして最大の欠点は
 早とちりの多いことなんだよな」

と、リョウスケは語り、

「仕事でもさ、こっちが
 『日暮、この仕事はここをこうしてこうやって・・・』
 って説明してるともうその話の途中で
 『あっハイわかりましたっっ今すぐやりますっ』
 ってすぐ取りかかるのはいいんだけど
 必ず勘違いして間違ってんだよな・・・
 まぁ、ボーナスも使いきっちまったことだし
 しばらくは落ち着いて働けって話だな」

としめくくったのだが

ああ、いるよねそういう人・・・ハハハ・・・
うん、アタシ。
アタシも「早飲込みの早トチリだ」って、よく上司に言われるよ・・・

日暮君の悲劇を他山の石として
ボーナス支給日はきちんと確認しながら生きていこうと
心に誓った千代子であった。


千代子 |MAIL
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