職業婦人通信
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2004年08月04日(水) 妹よ

私の妹、ノリコは24歳。

ノリコは、若かりし頃は渋谷センター街を
妙ちきりんなメイクで闊歩し
雑誌『egg』に写真が掲載されるような、いわゆる“ギャル”であったが
大学を卒業した今ではすっかり地味になり
某損害保険会社でOLをしている。

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姉の私は最近バイクを買ったので、妹の会社の自賠責保険に加入しようと思い、
メールで妹に手続きを頼んだ。

妹からは
「自賠だったらすぐに手続きできるよ!まかしといて!」という頼もしい返事が。

学生時代は
あんなにお母さんを心配させた妹だったのに
今じゃ「自賠」なんて略語まで使って・・・大人になったのねぇ・・・

と、バカ姉は感慨ひとしおであった。

数日後。
妹からFAXで自賠責保険証書の写しが送られてきた。

私は保険のこととか金融商品一切のことがサッパリわからないので
こういう手続きをやってくれる人はホントすごいよなぁと感心する。

その感心の対象が
かつて心配ばかりかけられたバカ妹であったために
姉は感動すら覚え、マブタの裏にじわりと熱いものまでこみあげてきた。

高校生のときにはプチ家出して家族に心配かけたし、
大学生になったらクラブにばっかり通って
家でパラパラの練習してお母さんを驚かせたし、
提出日の前日になっても卒業論文書けなくて泣かれたから助けてやったし、
ストーカーにつきまとわれて警察沙汰になるし(←これは妹が悪いわけではないが)、
色々と心配ばかりかけてきた妹だったのに
今じゃもう、立派な仕事人になったのねぇ・・・(感涙)

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送られてきたFAXには保険証書の写しとは別に、
妹からの手書きメッセージが添えられていた。

『お姉ちゃんへ

 バイクデビューおめでとぉ イケメンのバイカー見つけて あたしにも照会して☆
 自賠はこれで加入済みだけど 認意保険もよろしく〜 
 
 じゃーねー ノリコより』

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妹よ・・・。

お前が立派になったことはわかる。
もう立派な社会人だよね?お姉ちゃんは嬉しいよ。

けど・・・。だけど、一言だけ言わせてもらってもいいかな?

うん、お姉ちゃんは漢字が間違ってたぐらいでガタガタ言いたくないよ。

だからホントは「紹介」のところが「照会」になってたことくらいは
何も言わない。まぁそれぐらいのミスは誰にもあることだしさ。お姉ちゃんにもあるよ。

けど、妹よ・・・
お前が損保に就職して、2年も経ったのに

認意保険

は、ちょっとマズイんじゃないかとお姉ちゃんは思うんだよ・・・

だってお前の会社、保険の会社じゃん?
任意保険って取扱商品のメインじゃん?
それなのに、手書きでその間違いはどうかなって・・・。


妹よ、
姉は少しだけ心配です。


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最近読んだ本:
吉田修一「最後の息子」(文春文庫)★★★★
吉田修一「熱帯魚」(文春文庫)★★★☆
エミリオ・ルッス「戦場の一年」(白水uブックス―海外小説の誘惑)★★★★☆
フィリップ・K・ディック「高い城の男」(ハヤカワ文庫)★★★★☆


千代子 |MAIL
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