職業婦人通信
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2004年07月21日(水) 拝啓父上様

昨日、東京は7月観測史上最高の39.5度を記録したという。

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昨日の午前11時すぎ。

外はピーカンに晴れて猛暑な模様ではあったが、
私はいつもどおり、クーラーの効いた社内で
(ハラ減った・・)と思いながら
のんびり友達にメールを書いていた。

そこへ、普段昼間になどめったに鳴らない私のケータイが
机の上でせつなげに(冬ソナの着メロ)鳴り始めた。

『冬ソナの着メロが鳴る』ということは
両親どちらかからの電話ということだ。

娘が仕事中だとわかっていながら電話をかけてくるほどだから
すわ大変な用、もしや家族に大事が?!

と思い、あわてて

「どうかしたの?」

と出ると、父がのんびりした口調で

「おう、ノリコ・・じゃなかった千代子か」

と言う。
のっけから娘の名前を妹ノリコと間違えたことに少々むっとしつつ

「なによ?」

と聞くと、父は

「今日はアチィなぁ。お前、今外にいるのか?
 ・・・あのな、さっきテレビ見てたら今日、
 東京は38度を超えるつってたぞ。
 お前、今日は昼間に外へ出る仕事あったら断れよ、んで外には出るな。
 どーーーーーしても出なきゃいけない時には帽子をかぶれ、なっ」


と言いだした。

家族に何かあったのかとばかり思っていた娘は
唐突な父の話に驚き

「ああ、そうね、暑いね、父ちゃんこそ気をつけて。・・・で、どうかしたの?」

と畳み込んだのだが、父は

「いや、それだけ」


・・・・。

父よ・・・。
暑いのはわかる。心配してくれるのも有難い。

が、娘はもう30歳だということを
アンタはわかっとるのかね?(しかも仕事中)


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昔から私の両親は超超チョー過保護であった。

小学校で遠足に行くといえば
「生水は飲むな」にはじまり、遠足で遊覧船に乗るといえば
「避難用の浮き輪のそばから離れちゃダメよ」と言い、

修学旅行となればさらに
「ホテルの避難口を確認してから寝ろ」と言う、
そんな親であった。

大人になってからも
「口のうまい男についていってはいけない」
「男に酒をすすめられたら混ぜモノが入っている(変な薬とか)かもしれないから断れ」

等、変な心配事ばかりを探してきては
口うるさく言うのであった。

スノボに行くときに至っては
「雪崩が来たら、雪崩に飲みこまれる前に雪崩と一緒に滑っていけ、そうすれば助かる」
と、どこで聞いてきたのかもわからぬトンチキ情報を娘に教える始末。

それがどうにもうっとうしくて、
会社員になった瞬間、これ幸いとばかりに社員寮に入って家を出、
今日に至るのだが・・・

いまだに親は変わってはいないらしい。

そういえば、こないだ
『東京を直撃する台風が来るかも』
という情報がテレビに出たときも、

母から
「風でどっかのカンバンが飛んでくるかもしれないから注意しなさいよ」
という電話があったんだったっけ・・・。

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拝啓父上様、

心配してくれるのはありがたいけど、
あなたの娘はもう30歳。

過保護はほどほどにね・・・。

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最近読んだ本:
垣根 涼介「ヒートアイランド」(文春文庫)★★★★


千代子 |MAIL
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