職業婦人通信
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千代子の会社は年に一度の健康診断シーズンを迎えている。
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35歳以上のの社員は バリウム飲んでぐるりぐるぐると回されたり 眼底検査と称して目にショックを与えられたりと 色々追加メニューをこなす必要があるものの、
千代子はまだ30歳、 着々と迫り来るバリウムの足音には耳をふさぎ、 身長・体重・尿検査・血液検査・視力聴力といった ベーシックメニューを消化するのみである。
しかしやはり体重を会社で量られるというのは なんともイヤなもので 昨日からご飯を減らし、酒を控え、 今朝は当然朝ご飯は抜き、測定に備えた千代子であった。
そして今日の昼前のこと。 いよいよ、私が健康診断を受ける時間帯がやってきた。
性別とか部署によって受診時間は決められており、 私が振り当てられたのは「本社の女子社員+企画部門の女子社員」の時間帯である。
千代子の会社の本社部門はほとんどが派遣社員さんで 残された正社員(女子)は千代子を含め数名しかいないのだが、 一方、一緒の時間帯を割り当てられた企画部門の女子社員は数十名の大所帯。
私は適当にさっさと一人で受けてこようと思っていたのだが 普段はそれほど仲良くもない(仲が悪いわけでもないが) 本社社員のMちゃん(2年後輩)からわざわざ内線がかかってきて
「すみません千代子さん、一緒に健康診断行ってもらえますか?」
という。
健康診断くらい一人でも受けられるでしょアンタ、と ちょっと思ったが、まぁそこはそこ、女子の人間関係というのは 何かと面倒である。
普段本社から出ることがなく、他部署にあまり知己のないMちゃんは 企画部門の女子社員多数にかこまれて 一人で健康診断を受けるのがイヤなのであろう。
私自身は企画部門の女子社員たちと仲良しなので その手のプレッシャーは皆無であったが、 Mちゃんと一緒に行くのがイヤなわけではないので、 結局は一緒に連れ立って健康診断会場へ向かったのであった。
そしてともに採尿し、採血したのち、 今日の(千代子的には)メインイベントである、体重計測の順番がめぐってきたのである。
が、何やらMちゃんの様子がおかしい。
「千代子さん、どうぞお先に」 と言いながら、何かモゾモゾしているので
「あっそう、じゃ、お先に」
と言い、私が先に体重を計測 (息をとめ、身体をできるだけ中空に浮かそうと努力したが当然意味なし)した。
そして振りかえると、Mちゃんはなんとなんと、 制服(スカート・ブラウス・ベストの銀行員3点セット)のベストを脱ぎ、 さらにブラウスの下のブラジャー(ヌーブラ)をごそごそとはずしたところであった・・・。
千 「Mちゃん・・・なんでブラを・・・?」 M 「だって千代子さん、ヌーブラって重いじゃないですか〜。 制服のベストとヌーブラできっと何百グラムかは違いますって」 千 「・・・・なるほどねぇ・・・」
そんなことまでして体重を減らしたかったのか・・・アンタ・・・
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たしかにヌーブラは、中にジェルだかなんだか入ってるから重い。 それはわかる。わかるんだけどね。
Mちゃんは私なんかよりよっぽど華奢で細身なのに なぜそこまでして体重を少なくしたかったのであろうか。
「連れ立って健康診断に行きたい」という心理もそうだが、 「ヌーブラを外してまで己の体重を軽く計測したい」という乙女心?に 同性ながら、女の執念を垣間見たような気がした千代子であった・・・。
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