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沙夜



 探しものはなんですか

豆ぞうさんが、カーナビの画面とにらめっこしながら
“何か”を探していた。


何を探しているの?
映画館?


いや、そんな良い所じゃないんだけどね。

えー、どこどこ?

う〜ん。
どこだろうねえ。




辿り着いたのは、彼の母校であった。
正門が開いていたので、豆ぞうさんは躊躇することなく車で進入。


日曜日の夕方という時間帯の所為か、人影はなかった。
広い校内をゆっくり走りながら
「こっちが中学で、あっちが高校」と案内してくれてたけど、
私は『勝手に入っちゃって(それも車で!)、
誰かに見つかって注意されないかしら』とヒヤヒヤしていた。


恋人を自分の母校に連れて行くなんて、
ちょっとドラマっぽいシチュエーションじゃないの。
ここで僕は青春時代を過ごしたんだよ、みたいな。
わざわざ、というよりは、たまたま近くに来たから、
という感じだったけれど。




小さな頃に泳いだ川。
レトロチックなレストラン。
学生服の豆ぞうさん。


彼の、懐かしき思い出に触れた日。





2005年04月27日(水)
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