妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2013年02月26日(火) |
『闘争領域の拡大』(小) |
【ミシェル・ウエルベック 訳:中村佳子 角川書店】
フランスの作家を読むのはひょっとして、モーリス・ルブラン以来じゃないのか、と思ったけど、そんなこともなかった。コクトーとか読んでた。
中身を説明するのは難しい。 哲学的ではあるけれど、難解というわけではなく、話しはシンプルで語りは簡潔に淡々としている。 主人公の30歳の僕が、特に大きな事件があるわけでもないが、徐々にドロップアウトしていく様子は同年代としては身に詰まるというか、どっちかというと絶望的な気分になる。 たぶん、男の人が読むとより一層共感すると思う。 僕、もしくは僕が出会うティスランという不細工で童貞な28歳に。 このどちらの登場人物に共感してもどん底気分になるのは間違いない。
非常に下に下に向かっていく話しなのだけれど、不思議と閉塞感のないラストだった。 まあ、幸せもないけど。
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