妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
目次|前のページ|次のページ
| 2003年10月23日(木) |
『巷説百物語』(小) |
【京極夏彦 角川文庫】
これ、講談社じゃないのか。
みんな言ってそうなんですが、京極流の仕事人、あれ仕置き人?みたいな話です。 これもまた、京極堂シリーズと同じで妖怪が出てくるわけでも幽霊が出るわけでもない。 きわめて現実的。 怪談ではないです。
「小豆洗い」 小屋に集まった面々が雨宿りの暇つぶしに百物語を始める、って古典的なシュチュエーションがよいです。 最初の話だから何がどうなるのか最後までわからず、上手く仕込まれたことだと知る段になって、鮮やかさを感じます。
「白主蔵」 おぎん姉さんが素敵なのです。 京極夏彦の書く女性の話し言葉が好きです。 前回巻き込まれた、百介が今回もお手伝いに借り出されてます。この後、全部に出てくるんですがね。 この話が一番すきかな。
「舞首」 全く事情がわからない百介に毎回ほっとします。私もだよ、と。 理解力が乏しいのかしら…
「芝右衛門狸」 おじいちゃんと狸の話、嘘だとはわかっているのですが好きでした。 なんだかいいですね。このおじいちゃん。 京極氏の書く、じい様も好きです。
「塩の長司」 いまいちな感じでした。 からくりが簡単すぎたのかな。
「柳女」 だんだん話しがシンプルになっていっているように思いますが。 全体的にあの男は狂ってしまっていたんだよ、というネタが多すぎるような気がしますよ。
「帷子辻」 死んだ女が徐々に朽ちる様を描いた絵巻って、私はどこか別の小説でも見たのですがどこだっただろう。 それがひたすら気になって気になって…。 おぎん姉さんが出てませんでした。少し寂しい。 又一ってのは、京極堂の憑き物落としの反対のことをするわけですが、その手法は落としと同じなのが面白いです。
解説大塚英志は相変わらず理屈っぽい。どうにかならんかね。
|