妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
目次|前のページ|次のページ
| 2003年08月20日(水) |
『ぼっけえ、きょうてえ』(小) |
【岩井志麻子 角川ホラー文庫】
これの表紙に使われたがために、そこらの幽霊画よりも怖い印象の、女性画。 絵だけ見ると綺麗なのに。
私の怖いという感覚が鈍いのか、ずれているのか分らないのですが、ことさら怖くは無いです。 岡山弁の妙ですね。 『ぼっけえ、きょうてえ』というタイトルの付け方が、非常に秀逸。
「ぼっけえ、きょうてえ」
タイトルの得体の知れない怖さと、岡山弁のリズムに流されたという気がします。 話しの内容そのものはね、別に怖かないんです。 でも、話としては面白いです。
「密告函」
思うになぜ、女性作家がホラーを書くと、この世で一番怖いのは女なんだよ、というオチになるんでしょ。 コレラと密告函と呪いの女と嫁、が絡み合っているようでいてばらばらの印象。 なんだか、なんで?という読後感。
「あまぞわい」
一番怖いと言えるのはこれでしたかね。 寝る前に、一話ずつ読んでいたのですが、この話の続きを夢で見ました。 主人公のユミが最後に、「次にあまぞわいに居着くのは、ユミじゃ」と尼だの海女だのの霊かなんかに言われて、海に入っていく終わりなのですが、その後。 話しの舞台の漁村に、一人の女がいて、ユミと同じで漁師の嫁をしているんですが、その女の前に死んだユミが現れて「次はお前の番だ。お前の番だ」と責め立てる、という話。 私の夢の話しは置いておいて、灰の上に小さい足跡が残っていたのがぞっとしますかね。
「依って件の如し」
霊とか得体の知れない怖いモノの描写がいつも同じ、のように感じます。 これこそ、だからなんよ?と。
解説は京極氏。 「ぼっけえ、きょうてえ」というタイトルについてで終始しましたね。 あまりに秀逸なので、このタイトルそのものが一番作品として成り立っているようにも思えます。 一番怖いしね。 なにしろ「とても怖い」ですから。
|