妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2003年07月13日(日) |
『君の夢は、もう見ない』(小) |
【五條瑛 集英社】
鉱物シリーズでちらちら出てきた、仲上さんの話。 『夢の中の魚』と一緒で、連作短編集。 五條の短編、本当に面白いんですけど。どうしましょうか。 五條作品は推理小説好きの人もチェックしとくべき、だと思う。 短編集は特にそう。
毎度ですが、ネタバレしまくるんで、一応お気をつけて。
「胸壁の美女」
胸壁の美女、その名も貂蝉。 ついこの間まで、三国志ブームだったものだから妙に反応してしまいました。 まさか五條と三国志が繋がるとは思いませんでしたよ。 その上、貂蝉の正体がおっさん・・・いや姿は現さないままに終わったのですが、仲上所長なみに夢が壊れた思いです。 それはともかく、葉山が出てますよ〜。相変わらず可愛いです。不機嫌です。ついでに潔癖です。たまには笑顔を振りまいて欲しい。 ただ、洪視点の時よりは、穏便です。 仲上さんが葉山を見る視点が、親のようで好きです。 だから、葉山ももう少し打ち解ければいいのに。
「髪の先から」
自作自演は気が付かなかったな。 いつでもナンパを忘れない所長が素敵。 チャンとのコンビも本当に可愛い。 それにしても、チャンが可愛いですよ。 ずっと、チャ〜ンと大五郎ばりに呼んでました(声には出してません。さすがに) 少年達がボーイズラ・・ごほっ。失礼。ちょっとそう見えて困りました。健やかに成長してください。
「秋愁の蟹」
なんとも素敵なタイトル。 謎めいていて興味深くて面白味もあって、とても中身が読みたくなる。 中身も素敵で切ない恋愛物でした。 余談ですが、名前に弱いということで一つ思い出したこと。 コンビニおにぎりに、「コシヒカリ使用」と書かれているのがここ最近(数年前くらいですけど)発売されてちょっぴりお値段が上がりましたが、コンビニおにぎりは元々全てコシヒカリ使用だったとか。 ミステリーばりの心理トリックは案外、身近に転がってるようです。 コンビニ愛好者じゃないので別に腹も立ちません。商売だからね。
「聖夜に君の名を呼べば」
チャンさんに初めてお友達が出来ました。 という話。 所長かっこいいですよ〜。 チャンさん、可愛いし。ピンクチラシごときで赤くならないで〜。 お話も素敵なクリスマスでした。 サンタな所長に惚れ直しますね。
「薔薇の行方」
にんまりしちゃうほど、洒落た話。 所長かっこいいし(そればっかり) 三人とも偽だと言うのはすぐにわかるけれど、まさか林さんがローズとはね・・・。 所長、美女じゃなくても目端が利くのね。 この話、大好き。
「偽りの季節」
世話女房みたいなチャンさんと、だらしなーい所長のコンビが可愛い。 もしくは親子みたいで微笑ましい。 チャンさんがね、本当にいい青年です。
「約束」
生真面目なチャンさん、「どうしようもない男ほど放っておけない」という女性に共感してしまってます。 そのままでは一生、所長の面倒を見て終わってしまうよ! と思ったら、 「ショチョウの世話だけで手いっぱいですよ」 と言ってるし。 いいのかしら。親族の反対を押し切って日本で生活して、おっさんの世話をしていても。 チャンさんの「ショチョウ」という発音が可愛いくって大好きです。
「君の夢は、もう見ない」
チャンさん、所長の過去の悪行を垣間見る編。 のようでいて、昔の女の登場に心揺れる乙女にも似た、チャンさん。どうなのか。 「昔のあの人を知らないでしょう」 「昔どんなに酷い人でも、今の自分にとっては優しい人」 という会話(要約です)はどう考えても、一人の男を巡る女の争いにしか・・・。チャンさん、無意識にそんな争いに巻き込まれてます。 所長もてますなぁ。
ところでさりげなく気になる、最近極東ジャーナルにできたという(ほぼ)葉山専用シャワールーム。 一体、誰が何の目的で設置したのか!! でもきっと、仲上さんも使用するんでしょうね。これから先。これで、風呂に入れと怒られずに済みます。 葉山以外と会話する野口女史、初登場。やっぱり、女史は最高にクールでかっこいいです!! 仲上さんと女史の噛み合わなさが素敵。
独立した短編でありながら、ウウル・ホウという男の影が一つの柱としてつながっています。 最後の書簡は、ラウルの熱い熱い求愛をつっぱねる、つれない所長がかっこいいです。 現役時代の所長の話も読んでみたいし、この先ラウルと再会するかもしれない所長も見てみたいです。 鉱物シリーズでちらりと出ていた所長も好きでしたが、この短編集でますます大好きに。 ほんと、かっこいいオヤジです。でも、風呂には入ってください。チャンさんに愛想つかされちゃう。
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