妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
目次|前のページ|次のページ
【著:向山貴彦 絵:宮山香里 幻冬舎】
発売当時、大層な帯がついていた記憶があるのですが、誇大広告は逆効果だと早く出版社は気が付くべきだと思います。
この本が誇大広告だった、というわけではないんですが。 いやむしろ面白かった故に、もう少しこの本の本質に即したキャッチフレーズをつけてあげればよかったのに、と思います。
冒頭、これでもか、というほどに悲惨な主人公。 小公女セーラなんてものを懐かしく思い出しました。 セーラと違って、ペチカは性格悪いのですが。 まあしかし、後天的な性格の悪さなので仕方がない、と思いますが。
そこかしこに現れる守頭は小早川奈津子かと思いました・・・。コワイ。 なんでそこまでペチカを目の敵にするのかしら?と思わなくもないです。
ルージャンの成長っぷりには目を見張ります。 好きだったわりには、最初の頃のイジメ方は、好きだからこそ・・・の域を越えていたような。 最初の頃の面影もない、後半の活躍ぶり。うっかり、いじめっこだったことを忘れそうでした。 そりゃあ、ペチカも易々とは許してくれないよ。 でもやっぱり、後半のルージャンはかっこよかったです。 塔を登ったはいいけどどうやって下りるのか、と思っていたら、ペチカを背負って下りてくる。 恐ろしい。 (余談ですが塔の上にはカリン様がいるのかと・・・)
ヤヤの「誰だって、自分が思っているよりはすごい人間だよ」って言うのがやっぱり印象的。
フィツも最後、ずいぶんと逞しくなって。 ところで、おばあちゃんってのはどうなったんでしょ。 ペチカと一緒に暮らす、とか? 一番悲しかったのは、テディが死んだところでした。
全編に渡って、妙に食べ物が美味しそうだったのが印象的。
とても細かい所まで設定されていて、絵の宮山さんとの共同作業もうまくいっているのですが、町と町との距離感というのがいまいち広く感じなく、ペチカは大陸縦断しているはずなのに、そんな感じは受けなかったのが残念。
お二人のサイトで、童話物語のできる過程が載っているのですが、なかなか面白いです。 (向山貴彦のサイト、宮山香里のサイト)
|