妄言読書日記
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2003年06月08日(日) 『童話物語』(小)

【著:向山貴彦 絵:宮山香里 幻冬舎】

発売当時、大層な帯がついていた記憶があるのですが、誇大広告は逆効果だと早く出版社は気が付くべきだと思います。

この本が誇大広告だった、というわけではないんですが。
いやむしろ面白かった故に、もう少しこの本の本質に即したキャッチフレーズをつけてあげればよかったのに、と思います。

冒頭、これでもか、というほどに悲惨な主人公。
小公女セーラなんてものを懐かしく思い出しました。
セーラと違って、ペチカは性格悪いのですが。
まあしかし、後天的な性格の悪さなので仕方がない、と思いますが。

そこかしこに現れる守頭は小早川奈津子かと思いました・・・。コワイ。
なんでそこまでペチカを目の敵にするのかしら?と思わなくもないです。

ルージャンの成長っぷりには目を見張ります。
好きだったわりには、最初の頃のイジメ方は、好きだからこそ・・・の域を越えていたような。
最初の頃の面影もない、後半の活躍ぶり。うっかり、いじめっこだったことを忘れそうでした。
そりゃあ、ペチカも易々とは許してくれないよ。
でもやっぱり、後半のルージャンはかっこよかったです。
塔を登ったはいいけどどうやって下りるのか、と思っていたら、ペチカを背負って下りてくる。
恐ろしい。
(余談ですが塔の上にはカリン様がいるのかと・・・)

ヤヤの「誰だって、自分が思っているよりはすごい人間だよ」って言うのがやっぱり印象的。

フィツも最後、ずいぶんと逞しくなって。
ところで、おばあちゃんってのはどうなったんでしょ。
ペチカと一緒に暮らす、とか?
一番悲しかったのは、テディが死んだところでした。

全編に渡って、妙に食べ物が美味しそうだったのが印象的。

とても細かい所まで設定されていて、絵の宮山さんとの共同作業もうまくいっているのですが、町と町との距離感というのがいまいち広く感じなく、ペチカは大陸縦断しているはずなのに、そんな感じは受けなかったのが残念。

お二人のサイトで、童話物語のできる過程が載っているのですが、なかなか面白いです。
向山貴彦のサイト宮山香里のサイト



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