妄言読書日記
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2003年04月28日(月) 『三国志10 帝座の星』(小)

【北方謙三 角川ハルキ文庫】

張飛・・・!

一番悲しかった。
吉川も含めて、北方の張飛が死ぬ場面が。
北方の張飛は最初から、なんだか切ない人だった。
見ているのが辛いくらいに切ない人だと思っていたけれど、その最期もまた切ない。
優し過ぎるよ。張飛。
「おまえはもう、充分にやった。抱きしめられて死んでいく資格はある」
なんて悲しい。そんな張飛こそ抱きしめられるべきだと思うよ。
けれどそうしてくれる董香ももうなく。

なんという展開を用意するんだ。北方。束の間三国志だということを忘れるほどです。

張飛の死があまりに悲しかったので、曹操の死もかすむ勢いでした。
でもやっぱり悲しいよー。曹操様ー。
徐々に死に向かう曹操がもうなんとも。
あなたは最期まで可憐だったよ・・・。
章タイトルが「冬に舞う蝶」だもの。
もちろん、蝶が曹操なわけじゃないですけど。

夏侯惇と他愛無い昔話をするのがなんとも切ない。
曹操死後、いくらもたたずに死んでいく夏侯惇がまた・・・涙を誘います。

曹操の死を知って、涙を流す劉備。
兄者はここぞという時に泣きます。ハートを鷲掴みにするようなタイミングで、とうとうと声も出さずに涙を流すのでまいってしまいます。
董香が死んだときも同じように泣くし。兄者にはまったく参ってしまいます。

曹操が死んで、曹丕と司馬懿の黒い主従の時代が来ました。
怖いよ。
サドマゾコンビで非常に気が合うらしい。怖い・・・。怖すぎる。
ここにシン氏も加わって、宮廷愛憎絵巻と言う感じです。

孔明が相変わらず追い詰められていて、気の毒だ。
この後に劉備が死んだらまたとても悔やむんだろう。

三国志の後半はつらいことばかりで嫌になってしまうよ。



蒼子 |MAILHomePage

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