妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2002年07月25日(木) |
『眠れる美女』(小) |
【川端康成 新潮文庫】
川端康成です。 見つけたので、コレ幸いと貼ってみました。 手、手招きしてる…… 私は、川端康成の命日と誕生日が一緒です。 没後、9年後に生れました。
川端康成の『眠れる美女』なんて知らないわ、と思ったのですが、解説が三島由紀夫だったので買いました。 『伊豆の踊り子』すら読んでません。ましてや『雪国』などいわんやをや。 そうそう、どうしても『舞姫』というと川端康成を連想してしまって(本当は森鴎外)、『伊豆の踊り子』と混同しているのだろうか、と思っていたのですが、やはり川端康成も『舞姫』って小説書いてますよね。おー良かった。間違ってはいなかった。
「眠れる美女」 で、ようやく本書の感想に。 どうして、これ有名じゃないんでしょうか。私が知らないだけなのですか。 なにをもってして、名作と呼ぶのかという定義は持ち合わせてはいませんが、もっと知られてもいいだろうと思います。 川端康成を初めて読んだのですが、こんなに官能的なものを書く人なんですか。 眠る五人の女性の描写の詳細さ(三島由紀夫言う所の、執拗綿密なネクロフィリー的肉体描写)。 そして、老人に寄り添うような死の影。
…今回、三島由紀夫の解説全文引用でもいいですか?(だめだろ) とにかく、読んで非常に驚いたということだけ言えればいいです。
「片腕」 川端氏はこんなものも書いているんですか。 そういえば、ノーベル文学賞受賞者でしたっけね。おお!受賞者の作品って初めて読むんじゃ……。 読書の幅の狭さを露呈してしまいました。精進します。
いきなり、娘が片腕を取り外して一晩貸してくれるところから始まるのです。 「私」とその片腕の一晩の話なのですが、娘の腕一本がこんなに官能的であるとは。 まあ、官能はこの話の本質ではないですが。 難しいなぁ、説明するのが。
「散りぬるを」 「私」が殺人事件の犯人の心理に踏み込もうと、あれやこれやと調書を読み返しつつ話が進行する。 けれども、犯人の心理が本筋なのではなく、心理を追求しようとした時そこに反映される「私」自身の心情がメイン。 なんだろうと私は読むのですが。 小説家というのは実の無い人間なのかしら、と。 だから、嘘ばかりだとかそういうことじゃなく。 実が無いのは中が空っぽと言う意味で。
ここまで書いてなんですが、この作品に感想言うのも無理な話だと思います。 無理やり言葉にならないものを捻り出したらこんなになりました。 作品自体が難しいわけじゃないんですけどねぇ。
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