妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2002年07月18日(木) |
『惜みなく愛は奪う』(他) |
【有島武郎 新潮文庫】
先月の、文学強化月間を頓挫させた元凶。 たかだか、100ページちょっとの本なのに、手間取った手間取った。 でも半分以降は、早かったです。 前半は、独白なのですか。語りなのですか。
ああ、これこんな題名ですが、論文です。
有島武郎自身が、自分に確認しつつ、書かざるを得なかったというか、吐き出したかったのだろうか、という感じを受けました。
レポート課題の本を読んだ時の気分です。 ああ、レポートにまとめないと、と。 それは、多分、この本に書き込みがあったせいもあるかも。古本屋で買うとそういうおまけがついてきて、面白い。
タイトル通り、愛とは与えるものではなく、奪うものだという論旨なわけです。 読むと、ああそうか。そうだよな、と思うのですが、題名だけ、または一部分だけで短絡的に奪うの意味を理解されることは、有島武郎も危惧する所のようで、 「若し私のこの感想が読者によって考えられるならば、部分的に於いてではなく、全体に於いて考えられんことを望む」 と最後に書いてあります。
そんなわけで、私も部分的な感想は無しということで。 興味を持ったら読んでみてね、と言いたいけれど、面白い話しではないのでお薦めはしませんね。 私は面白かったんですけど。
自由結婚とか、個性尊重の教育とか、現代で言われている問題にも言及していて、大正時代にすでにこんなこと考えている人がいるのに、社会が個人に追いつくのは本当に時間がかかるのね、と感嘆です。
しかし、初めて読んだ有島武郎がコレっていうのも、相変わらず邪道な入り方だ。
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