妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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【三島由紀夫 新潮文庫】
びっくり。 三島由紀夫ってこんなの書く人だっただろうか、と。 こんな爽やかな青春小説を。
私が読んだことがあるのは『禁色』のみなのだけれど、それでももっと暗いどろどろしたものを書くイメージがあったから。 と、思ったら解説にも同じようなことが書いてあるから、私の印象は間違いではないようで。
しかし、まあ、本当に何も難しい所はなく、拍子抜けするほど青春恋物語といった感じで、読み終わってみると「あれ…?」と思わずにはいられない。 私の読み方がおかしかったの??と不安に思ってしまうほど。 あんなに『禁色』は読むのに苦労したのに。
解説によると、これはギリシャの小説を現代版らしいのだが、そんなことは一読者は知らない。 ただただその作品のみを読んで理解するのみ。 知性の貧困さを盾にするわけではないですが、知らんもんは知らん。
何の感想を書けばよいのやら、どう感じればよいのやらさっぱりなのですが、四角い箱にぴったりと収められそうな、きっちりとした構成だったと、読み終わってみると思うのです。 一部の無駄も無く隙もなく。 ああ、凄いなぁと。
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