妄言読書日記
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2002年07月05日(金) 『潮騒』(小)

【三島由紀夫 新潮文庫】


びっくり。
三島由紀夫ってこんなの書く人だっただろうか、と。
こんな爽やかな青春小説を。

私が読んだことがあるのは『禁色』のみなのだけれど、それでももっと暗いどろどろしたものを書くイメージがあったから。
と、思ったら解説にも同じようなことが書いてあるから、私の印象は間違いではないようで。

しかし、まあ、本当に何も難しい所はなく、拍子抜けするほど青春恋物語といった感じで、読み終わってみると「あれ…?」と思わずにはいられない。
私の読み方がおかしかったの??と不安に思ってしまうほど。
あんなに『禁色』は読むのに苦労したのに。

解説によると、これはギリシャの小説を現代版らしいのだが、そんなことは一読者は知らない。
ただただその作品のみを読んで理解するのみ。
知性の貧困さを盾にするわけではないですが、知らんもんは知らん。

何の感想を書けばよいのやら、どう感じればよいのやらさっぱりなのですが、四角い箱にぴったりと収められそうな、きっちりとした構成だったと、読み終わってみると思うのです。
一部の無駄も無く隙もなく。
ああ、凄いなぁと。



蒼子 |MAILHomePage

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