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2011年10月03日(月)
どこで誰と何をどんなふうにしていようと(4)










書架と壁の隙間に落ちる。ような
夏だとおもう。
図書館で。
5階は冷房がほとんど
効いてなくて。胸に
汗をかいてしまう。暑いな。落書き。夕立ち。結婚。
珍しく男の人と
昨夜はベッドにはいったけれど。
別にその人のこと
好きでもなんでもなくて。
けれどカラダが、頼りなくても
たどたどしく、それでも
何もないほうに。
髪をほどく音。落書き。夕立ち。何もないほうに
向かってくれるのでそれは。
良いことだから。
毎日誰かと話をしていて。内緒の話で。二度はしない。
すぐに忘れてもらえる、話。優しい。
頁をめくる。指を伸ばす。ひらく。伸ばして。戻す。
本を閉じて。私が
また誰かの過去になったような、
そういう音だとおもう。
雨、あがらなそう。
でも帰る、帰らなくちゃ。
ちいさな子が書架の間を駆けていき
ポーチを落としたので
拾って
追いかけ
渡した。
でも無言で渡したものだから
びっくりさせたね。ごめんね。