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2010年07月19日(月) ■ |
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休符をひとつ |
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人間というのは音ですので じぶんを閉じ込めておくだけで、じぶん じぶんと うるさくなってかないません。 午後5時30分の 渋谷の道という道には 反響する靴音幾千億万びーと。 こんなふうに鳴りすぎると 集まり過ぎたじぶんたちが かえって 目を閉じるみたいに 静かになってしまいます。 静かさというのは、ええ。 やさしさですので。 だから誰も 気付かない顔をしながら ほんの数秒 靴音から吐息まで 消えてしまっていることは ご存知ですか。 誰ひとり いなくなっている瞬間なんてのも あるのです。 存在とは、無い場合のほうがきっと 気持ちの良いものなのでしょうか。 骨のような透明さで 交錯しあうエスカレーターの その 作動音だけを残して。
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