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2010年03月22日(月) ■ |
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あたらしい友だち |
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生まれたばかりのおはなしは まだおいらのアタマにしかいない 水の服を着てきらきらの つるんとした顔をしてる まだ姿なんてものがないかのように その姿を振り返って見るたび 何度も着替えては照れている
おはなしになるまでのおはなしは まだ不器用でうまくあるけない 樹木みたいにあちこちカラダを ぶつけながらおいらの後をついてくる 枝を削ったり引きずったり 余計な土をくっつけながら あるきかたをおぼえているのさ おいらの心配なんかよそにして ひとりでにひとつになれるまで
カタチになった後のおはなしは もうなにも話さなくなってしまった 人通りの隅っこで放りっ放しになってたり 踏まれても、じっとしてるしかない 顔も完成した後の 身動きできない人形だけど 誰かが気付いて手に取ってくれる事が そんな事があったなら、かすかに 揺れることはあるかもしれない
カタチになった後のおはなしのヤツと けれどももしも ずっと話がしていられたなら 彼らはどんな姿を見せるでしょう おいらが変わるたびにおはなしのヤツも 色を塗り直し削れ重ねて足しまた直して
おいらが年老いて消えるまで そんなことができたなら 素晴らしいおはなしが出来るでしょうか いえ、おはなしと呼ぶ必要もなくなるとおもう まるで古い友だちにそうするように 名前を呼ぶことができるでしょうね
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